気品

2014 年 2 月 21 日

 サッカー選手にとって途中交代ほど悔しいものはないはずだ。うつむきながらピッチを去り、その直後に監督と一悶着(ひともんちゃく)をおこす選手もいる。

 “ある種”で同情はできても監督の下した決定を尊重しなければ、チームの秩序をあやうくするものだ。途中交代に業を煮やし、ベンチには戻らずロッカールームまで戻ってしまう選手もいる。

 MFアンドレア・ピルロもその一人だった。昨年9月の4節ヴェローナ戦、途中交代に慣れていない“才能”は、ピッチを去るとそのままロッカールームに直行した。

 ACミランの黄金期を支え、2006年ドイツW杯制覇に貢献した才能は2011-2012シーズンからユヴェントスに移籍する。加入からチームの中心としてリーグ2連覇に貢献、今季も首位をまもり3連覇にむけ快走しているチームとピルロは決して無関係ではない。

 チームを率いるアントニオ・コンテは、選手交代に対し『選手の顔を見て決めるんじゃない』と公言してきた。名前に左右されず、動きが悪ければ交代は躊躇(ちゅうちょ)せず行なってきた。

 チームのOBであり、現役時代から「厳格」でしられたコンテは指揮官になっても変わることはなく『怪我以外でベンチに戻らなかった場合は罰金と1カ月チームから外す』というルールを設けた。5月に35歳になるピルロにも必然的に“老い”が目立つようにはなったが、そのことに同情はできてもベンチに戻らなかったことは同情できないだろう。

 本田圭佑は14日のボローニャ戦、後半21分に交代を告げられると味方ファンからブーイングを浴びた。

 コンディション不良と不慣れなサイドでの起用が精彩を欠く要因にはなったが、リーグ戦において未だ無得点へのブーイングだったのは容易に想像できる。

 結果を出せない“新人”への期待の裏返しではあるが、交代後、本田はベンチに座らずロッカールームに直行した。試合後、「クラレンス・セードルフ監督と和解した」と報じられてはいるが真相は謎のままである。

 18日、欧州CL(チャンピオンズリーグ)が再開されベスト16ファーストレグの4試合が終わり、ACミランはスペインのアトレティコ・マドリーに0-1で敗れた。

 CLの規定により出場できない本田に代わり、その場所に入ったMFアンドレア・ポーリがヘディングシュートを放つなど惜しい場面を演出した。敗れはしたもののチームを活性化させたのは確かである。本田の加入によりベンチにすわる機会がおおくなった同選手のみせた活躍が今後を左右するか注目したい。

 ポーリは本来、中盤の底を主戦場とする選手である。トップ下を希望する本田と同様、望んだポジションではない。それでもチームに貢献し、後半40分に交代を告げられると彼はベンチに座った。


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