年輪

2014 年 1 月 22 日

 「優勝請負人」とも呼ばれ、欧州チャンピオンズリーグにおいてアヤックス、レアル・マドリード、ACミラン、異なる3つのクラブで欧州を制覇したのは、大会の歴史をひも解いてもクラレンス・セードルフただ一人の功績である。

 近年のACミランにとって“善き時代”をもたらしたセードルフが16日、そのチームの監督に就任した。

 監督としての初陣は後半37分、PKによる1点で辛くも勝利する。だが、現在11位と未だチームが本来あるべき位置にはいない。本田圭佑もまたリーグ戦初先発を果たし、後半18分まで出場した。

 マッシミリアーノ・アッレグリ前監督、マウロ・タソッティ暫定監督と、入団から2週間を経たずして3人の指導を受けたことになる。ミラノに居をかまえ、“辛口”で知られるガゼッタ・デロ・スポルト紙も「入団から3人の監督の下でのプレーは戸惑うだろう」と日本代表MFに同情している。

 対戦相手のヴェローナは2002年にセリエBに降格、今季10年以上の歳月を経て昇格、全20チーム中現在6位とイタリア中を驚かせている。また、シーズン開幕戦でミランに“土を付けた”のもこのチームである。

 元イタリア代表FWルカ・トーニを起点にカウンターサッカーで勝ち点を積みかさねている。若手の台頭もめざましく、強豪チームがこぞって触手を伸ばし、有望な若手の一人だったMFジョルジーニョ(22)が強豪ナポリに引き抜かれたのはつい先日の話である。

 その国のリーグ戦を盛り上げるには昇格組の活躍が不可欠だろう。Jリーグでも一昨年、サガン鳥栖の躍進は人々を驚かせ、そして喜ばせた。押し出されるように名門ガンバ大阪がJ2降格の憂(う)き目にあったのは記憶に新しい。

 開幕戦に勝利したヴェローナに勢いに乗り、敗戦した名門が“波”に乗れなかったのは皮肉にも結果が示している。しかし、「後半戦」初戦の勝利をチームのレジェンドである“セードルフ監督”が挙げたことに大きな意味をもちそうだ。「前半戦」を不振で終えたミランにとって、後半戦は上々のすべり出しと言っていいだろう。

 監督は就任会見で『(ミランの)DNAを失うことはない。ウィルスにやられるときもあるが、すでにその薬が到着しているところだ』と語る。その薬が、選手なのか、戦術なのか、は今後の楽しみの一つでもある。

 また、本田にとって新監督の就任自体が「収穫」と言えそうだ。

 10年間チームに在籍し、2006年からチームの10番を背負い、欧州ベスト11、欧州最優秀MF賞に輝いた過去をもつ“先輩”から学ぶものが多いのは想像にむずかしくない。

 教わるのは、現代サッカーの10番なのか、ACミランの10番なのか。いずれにせよ日本代表の大黒柱を“太く”してくれるのは間違いなさそうだ。


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