聖地

2014 年 1 月 15 日

 世界一4回、欧州制覇7回、国内リーグ制覇18回、FIFAクラブW杯の前身「TOYOTA CUP」が国立競技場のみで行われていた時代、欧州王者として最多出場を誇るACミランが苦しんでいる。

 日本時間13日明朝、イタリアの名門に移籍を果たした本田圭佑は異例の速さでセリエAデビューを果たした。8日に入団会見を終えたばかりの選手が、その4日後にはピッチに立つのは苦しいチーム事情を踏まえても期待の表れである。

 後半20分から出場した日本代表MFは、軽快なタッチと動きで2点を追うチームに確かな勢いをもたらした。その後1点を返し、ポストを叩くシーンも作り出したが勢い及ばず3-4でデビュー戦を落とした。

 欧州チャンピオンズリーグではベスト16に名を連ねるが、国内リーグ戦では不振を極め、今季セリエBから昇格し20チーム中18位と降格圏にあったサッスオーロに敗れたこともあり、チームはマッシミリアーノ・アッレグリ監督の解任を決断した。

 今後も出場できるか、という疑問もあるが獲得を強く希望したのはフロントであり、本田自身もサッスオーロ戦でその価値を示した。手厳しいイタリア各紙の寸評も好意的であり、途中出場ではなく90分を見たい、と願うのは日本人だけではないのが現状だ。

 その本田の母校、石川県代表・星陵高校が第92回高校サッカー選手権大会で初の決勝戦に駒を進めていた。

 晩秋から雪に見舞われる環境下にありながら決勝戦に勝ちすすんだのは富山県代表・富山第一高校、北信越地方同士の決勝戦は3-2で富山第一の初優勝で大会を終え、改修前の国立競技場において最後の王者となった。

 0-2から後半42分と45分に追いつき延長に突入。選手権“らしい”試合展開はその終わり方もまた劇的だった。延長後半のこり1分で逆転弾を叩き込んだのだ。

 「国立最蹴章」と銘打たれた大会は最後にふさわしく、ファンの記憶に残るであろう国立最後の一戦は、最後の勝者と敗者をつくったが両校とも記憶に残る決勝戦を演じた。

 またこの日、ACミランのマフラータオルを身につけたファンを多く見かけた。

 海外で“お馴染み”だった光景は、Jリーグでもすっかり見慣れた風景にもなった。また、好きなチームのマフラータオルを巻くのはある種の愛情表現ともされている。

 高校サッカーではOBかよっぽどのファンでなければ持っていないだろうし、作っている高校も多くはない。一昔前ならば、関係性を感じずファンと割り切れるが現在はちがう。

 かつてこの場所で戦い、準決勝で敗れ決勝の舞台に立てなかった星陵の10番が、現在ミランの10番を背負い名門復活を期待されている。

 夢のような関係性を感じさせ、高校生にとっての「夢の舞台」がこの日、劇的な決勝戦と共に幕を下ろした。


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