雛型

2013 年 11 月 21 日

 危機感がそうさせたのか。
 サッカー日本代表はベルギーで国際親善試合を行い、16日にオランダと2-2で引き分けると20日にはベルギーを3-2で撃破した。

 先月12日セルビアに0-2、15日ベラルーシに0-1で連敗していたチームが、世界の強豪に1分1勝の成績は十分誇れるものだ。たとえ信ぴょう性に欠けるFIFAランキングだとしても同列と格下80位に44位の日本が敗れた10月の過去は変えようがない。

 それでも翌月8位オランダ戦を0-2から追いつき、5位ベルギーにも先制されるものの3点を奪い返しての勝利は、誇れる過去として日本サッカーの歴史に刻み込まれた。

 賞賛の声は鳴りやまないが、いかにして日本は賞賛される立場になり得たのか。初招集の選手はなく、遠征に参加した23人に大きな変化はなかった。

 しいて言えば、“控え選手”の奮闘ではないだろうか。

 オランダ戦、“固定”されていたはずのポジションにMFに山口螢が入ったことにより、守備が安定感を増したことは火を見るより明らかだったが、吉田麻也と今野泰幸の両CBの「心」も引き締まったのではないか。誰でも“後輩”の前でミスはしたくないのは、ことサッカーに限ったことではないはずだ。

 その後方にも本来ベンチを温めている西川周作だったのも功を奏した。GKらしからぬ正確なフィードボールが、きれいに前線にいる味方に繋がったのも1度や2度ではなかった。横につなぐだけで終始した10月だったが、11月には縦への推進力が増したのは彼の功績が大きかった。

 その危機感がベルギー戦では不用意すぎるほどの川島永嗣の飛び出しに結びつけるのは早計だが、本来あって然るべきポジション争いはチームの底力をみせた。

 オランダに先制点をプレゼントした内田篤人もベルギー戦では先発を外され、代わった酒井宏樹は攻守において貢献度は高かった。同点弾を導いた彼のクロスに合わせた柿谷曜一朗は、おおきな苦労を必要としないほど精度の高いものだった。

 核となる選手以外「次」を約束せず、本来あって然るべきチーム作りを披露したザッケローニ監督は、満足感を口にする一方で「10月のようにならないように」とチームに釘を刺すことも忘れなかった。

 2010年このチームが始動して以来、連敗したのは今年になってからの事だった。非難の苦さと賞賛の甘さ、きびしさを学んだおよそ“1ヶ月”に渡る欧州遠征は、来年の展望を暗くも明るくもするものだった。

 チーム最年長の遠藤保仁を45分だけ出場させる“雛(ひな)型”を来年6月のW杯本大会まで継続するかは不明だが、出場を約束しないチーム作りを来年も継続することを願わずにはいられない。

 強豪に勝利する悦びをしり、連敗の怖さをしったチームの2014年が今から楽しみだ。


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