相乗

2013 年 10 月 26 日

 UAEで開催されているFIFA U-17 W杯において若き日本代表は、グループリーグ3戦全勝で決勝トーナメントに進出した。

 気温30度、湿度60%を超える“アジアの環境”も日本の助けになっているとしても大会を左右する初戦を欧州予選1位で通過したロシアを1-0で一蹴する。つづく南米予選3位で通過したベネズエラ戦ではスターティングメンバーを8人変更しながらも3-1で競り勝ち、連勝でベスト16入りを早々に決める。

 2試合ともボール支配率60%を超え、シュート数もロシアの6本に対し日本は10本、ベネズエラの6本に対し日本は23本も放っている。

 大幅なメンバー変更を行なっても勝ちきれるのはチームの方向性が浸透していることを示し、1戦目をベンチで過ごした選手たちも腐らずに集中力を保てる。これらの高いチームマネジメント能力は吉武博文監督の手腕に他ならない。

 また、グループ最終節となったチュニジア戦ではUAEに連れてきたメンバーの中で唯一出場機会のなかったFW杉森考起を先発させる。前半こそ“らしくない”展開でこの大会はじめての先制点を許すが、試合終盤に2点を入れ2-1と逆転できるのは精神的な強さとチーム力の高さを示している。

 選手たちが1996年生まれから“96ジャパン”と命名される若き日本代表だが、UAEに渡った登録21人全員が出場しての3戦全勝はたしかなチーム力がなければ不可能に近い。理想的な展開で決勝トーナメントに挑めるのも日本の強みになるだろう。

 U-17日本代表の過去をみると1993年、2011年のベスト8が同大会での最高順位だが、今大会はアジアという環境も助けもあり、先人たちを超える力を秘めている。

 また、日本サッカーの過去にも「技術だけならA代表よりも巧い」と、よばれた世代があった。

 そう語ったのはフィリップ・トルシエ監督である。U-21、五輪、A代表も兼任していたフランス人は1999年MF小野伸二を中心とした「黄金世代」とよばれたチームを率いたときに発したものだ。

 彼らは日本代表としてFIFA主催の大会で決勝戦まで勝ちすすんだ最初のチームだ。初戦こそカメルーンに敗れるが決勝戦まで勝ち進み、“銀メダル”を獲得したのは現在でも語り草になっている。

 96ジャパンが語り草になるには結果が必要なのは言うまでもない。2011年前回大会のチームも多くのタレントと期待を集めていた。グループリーグを2勝1分で通過するが、彼らをもってしてもベスト8でブラジルに敗れている。

 「技術だけならA代表よりも巧い」は現在には当てはまらないが、昨今のA代表の停滞が皮肉なことに“96ジャパン”の輝きを助けている。

 彼らには是が非でもベスト8の壁を乗り越えて欲しい。その快挙とグループリーグの戦い方はA代表へ無言の重圧となるはずだ。


コメントをどうぞ