固執

2013 年 9 月 11 日

 キリンチャレンジカップ2013が横浜で行われ、先制を許したものの後半に3点を叩き込み、3-1でガーナ代表に逆転勝利した。

 「前回W杯ベスト8に逆転勝利」、「強豪に勝利」といえば聞こえは良いが、ガーナ代表の根幹をなす選手たちの来日はなかった。また、6日に試合をした選手たちと若手中心のメンバーが丸一日かけて日本にやって来たのは8日だったのを忘れてはならない。

 だが、彼らは必死だった。

 ガーナ国民の平均年収は10万円ほどだといわれている。サッカーで成功することこそ手っ取り早い「成功」や「安定」なのは想像に難しくない。だからこそ移動の疲れを微塵(みじん)にも感じさせない動きで、ときに日本を圧倒した。昨今は世界中のスカウトが目を光らせているのを彼らは知っているのだ。

 前半こそラッキーな形で先制した彼らだが、時間が経つにつれ疲労の色を濃くし、足が止まる場面が見受けられたのも致し方なかった。このチームに主力が加わり、コンディションの良い“本来の”ガーナ代表を見たくなったファンは少なくないはずだ。

 そのことを長友佑都も『主力が来てなかったし』とふり返っている。

 それでも勝利したのは評価に値するが、得点差がつけての勝利が必要だったのは現在の日本代表ならば、課題の一つに挙げていいだろう。プレーの質の向上が求められるのは言うまでもないが、自分が決める、という“エゴ”を来月の欧州遠征では求めたい。

 得点の確率をあげるためにゴール前でパスを選択することは悪いことではないが、昨今はそのことに“固執”している感は否めない。しかし、良い場面もあった。前半29分、香川のパスカットから柿谷曜一朗、ゴール前の本田圭佑に繋がったシーンだ。

 惜しくもゴールにはならなかったが、一連のプレーはおよそ8秒間で行われている。攻める形が遅(ち)攻が多かったからこそ、この形が目新しかったのかもしれないが、この速攻こそ日本人の強みが生きる戦い方だろう。是非とも磨きをかけて欲しい。

 この試合の分岐点になった同点ゴールを決めた香川真司は、同時に失点の起点となった選手だ。試合後、『取り返そうと必死でした』と胸をなで下ろしている。もし、失点のキッカケを作らなければ香川はあの場面でシュートを選択したのだろうか、疑問が残る。

 ボルシア・ドルトムントの、昨季終盤の香川が選択していたであろう場面でシュートを選択しないのは、所属するマンチェスター・ユナイテッドでの今季にも影響しているのではないだろうか。

 この日の得点を機に更なる飛躍を望みたい。

 その飛躍の先に所属チームでの活躍があり、来月の欧州遠征ではどんな香川真司が、どんな日本代表が待っているのか。想いを馳せたい。


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