失策

2013 年 8 月 29 日

 8月30日から9月8日にかけて台湾で開催される第26回IBAF(国際野球連盟)18歳以下のW杯に出場する日本代表は、95回甲子園で活躍した選手たちで名を連ねるなか出場していない松井裕樹投手も選出され“エース”として注目を集めている。

 昨年の94回全国高等学校野球選手権大会、一試合で22奪三振を記録し、87年ぶりに大会記録をも更新した松井は95回大会、甲子園のマウンドに立つことは許されなかった。

 名門・横浜高校との神奈川県大会準々決勝、松井を擁(よう)した桐光学園は敗れている。七回表に2-1と勝ち越したその裏、一塁手と二塁手が“お見合い”する不運なかたちでランナーを出してしまう。

 誰でも表情を曇らせるシーンだ。

 次のバッターこそ相手のミスにより幸運な形で打ちとれたが、次のバッターには高めに浮いた初球をスタンドまで運ばれ逆転の2ランホームラン、3-2と逆転されてしまう。

 その後を無失点におさえ、8回裏こそ三者三振で終えたが最後まで1点が遠かった。結果的に仲間のミスが生んだ動揺は表情にも表れ、試合を決める結果にもなってしまった。

 注目され、確かな実力がありながらも甲子園の土を踏めない選手は珍しくはない。たとえば現在、日本ハムファイターズの大谷翔平は3年時、“夏の甲子園”を経験していない。それでもプロ入り後、投手と打者の「二刀流」の選手として球界を代表する選手になった。

 彼もまた、松井と異なる“不運”で甲子園を逃している。不運は、ファールボールが本塁打と判断されてしまうものだった。試合を行えばアクシデントは必ずと言っていいほどある。それらのミスがたとえあったとしても、動揺を最小限におさえ勝ちきれる選手を誰もが望むものだが少ない。

 訪れるピンチやミスをいかに乗り越えるか。そのことはチーム、または個人の強さに不思議なほど反映し、またどのスポーツ界にも共通する事柄なのではないか。

 失点の多さから守備の崩壊がさけばれているサッカー日本代表だが、不運とはとても言い難(がた)いミスが重なり、自信までも失いかけている印象が色濃い。

 先のウルグアイ代表戦。失点された直後のシーンをふり返ると日本代表選手たちが見せた表情は、失点された悔しさよりも露骨(ろこつ)なほどの落胆(らくたん)の色であり、17歳の松井が、18歳だった大谷がみせた表情とは全くの別物だった。

 松井は逆転を許した8回表、先頭打者として三塁打を放っている。ミスをした選手がヒットを打てばドラマだが、現実はホームベースを踏むことはなく“松井の夏”は終わりをむかえた。
 ミスをした選手が、いかにチームの勝利に貢献するか。そのことに目を向けると、スポーツの楽しみ方も深みを増すことだろう。


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