鼓舞

2013 年 8 月 20 日

 ある記事の波紋が拡がっている。
 記事の内容は、ボールを奪った後の攻撃の組み立てが日本人は苦手としたうえで「世界トップのクラブやリーグ、欧州CL(チャンピオンズリーグ)といったレベルで何十試合、何百試合とやって身につくもの。Jリーグでやってる人がどうあがいても勝てない部分。だから僕は海外に出た方がいいと言ってきている」と本田圭佑がコメントした、とされている。

 記事を書いた媒体を責めるか、選手を責めるか、といった波紋だ。

 17日に開催されたJリーグでは、目をひく出来事が多々あった。

 たとえサッカーに興味をもたない者が浦和レッズと大分トリニータの一戦を観戦していたとしても0-3で負けていた浦和が4点を入れ逆転したのなら興奮はかくせないだろう。埼玉スタジアム2002に訪れた32,329人はこの試合を楽しんだはずだ。

 新たな日本代表の選手たちが所属するチームにも多くのファンが詰めかけた。FW柿谷曜一朗が所属するセレッソ大阪ホームで迎えた清水エスパルス戦の前売り券が完売する嬉しい響きでチームをよろこばせると、試合も4-1の大勝。柿谷も美しいゴールでファンの期待に応えた。

 FW豊田陽平が所属するサガン鳥栖にとって「サポーターズナンバーの記念日」と位置づけたその日のホームスタジアムには22,530人が詰めかけ、「緑」のユニフォームがファンたちに配布された。本来、ピンクと水色で染まるスタンドがこの日だけは緑色になり、豊田も1アシスト1ゴールを記録し、チームに勝利をもたらした。

 守備の崩壊が叫ばれる日本代表に待望論があるDF闘莉王も攻撃で活躍し、後半アディショナルタイムに打点の高いヘディングで起点を作り、こぼれ球を押しこみチームに勝ち点1をもたらした。

 前途の同じ記事の中に、「この流れでJリーグに目が向く。Jリーグが盛り上がるのはいいこと」というものがあったが、唯一のポジティブな記事が理想的な結果を生んだ週末になった。

 ファンによって支えられているのが日本代表であり、Jリーグであることを忘れてはならない。

 媒体を責めるか、選手を責めるか、は自由である。

 ただ、そういった声が上がることも日本サッカーの財産になる。2002年の日韓W杯が終了すると多くのファンが日本代表監督ジーコを望み、そして就任を喜んだ。しかし、4年後に待っていたのは多くの非難だった。それらは歴史を築いていく上では確実に通らなければならない道だったはずだ。

 さらなる“上”を目指すならチームの中心にいる本田が、試合中に起こったミスに叱咤激励できる強いリーダー像を求めたい。中田英寿氏は、闘莉王は、味方を叱咤激励し、鼓舞(こぶ)できるリーダーだった。
 また、強豪国にはそういうリーダーが必ずいる。


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