ウルグアイ戦を控える日本代表発表前に東アジアカップを制し、注目された面々は果たしてザッケローニ監督の“お眼鏡”にかなったのだろうか。
8月14日に宮城県で行われる一戦は、チケットが販売されるとすべての席はまたたく間に売り切れた。都内近郊でなくとも、海外組の合流と世間のお盆休みも重なり日本代表の人気は絶大である。
それでも東アジア杯によって中断されていたJリーグが再開されると、試合が行われた会場にはおおくのファンが詰めかけた。「日本代表の試合だけは観る」というファンが多いなか、「Jリーグだけを観る」というファンもいる。
どちらもサッカーのファンに変わりはないが、隔たりを生んでいる現状がある。
“即完”する代表戦には遠く及ばなくとも、先週末(3日)に行われたJ1の観客動員数は少なかった試合でも8,000人が集まり、平均にすると18,000人を超える。ところが、4日に開催されたJ2の平均入場者数はJ1の少なかった試合に及んでない。
J1の現状すら羨(うらや)む“地域”があるが、見方を変えれば地域だけの楽しみ方もある。
J3とされるJFLの首位にいる長野パルセイロを率いる美濃部 直彦監督は、柿谷曜一朗を“再び”注目され始める要因をつくった、と言っても過言ではない一人だ。柿谷自身もまた、『徳島に行ってなかったら、プロサッカー選手としてやっていなかった』とも公言している。
京都パープルサンガユースから指導歴をスタートさせた同氏は、徳島ヴォルティス時代に柿谷を指導しているのは周知の事実である。
また、『京都はめっちゃ強かった。今になれば美濃部さんだからか、って思うけど当時、美濃部さんも今ほど有名じゃなかったし』と、“元”選手からこんな話を聞いたことがある。
元選手らしいコメントだが、今季から長野パルセイロを率い現在首位にいる実績は見逃せない事実でもある。
日本中のチームがJ1を目指し、日本中にいる選手が日本代表を目指しているのは誰もが知っている。だからこそ結果を残さなければならないのは、J1選手の、日本代表選手の、宿命ではないだろうか。
そしてファンからは日本代表選手を羨望と好奇の目で見られる。選手からは嫉妬があり、打ち負かせば成り上がれる、といった野望をぶつけられる。
いささか酷ではあるがそれでも結果を求められるのが日本代表である。
リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドはそれでも年間50点を超える得点を挙げている。比べる対象は酷だとしても、本気でW杯制覇を目論むならば、なんら不思議な考え方ではないはずだ。
日本代表で戦いたい者とJ1で戦いたいチームと選手が、日本全国には星の数ほど存在するのをその場所にいる選手たちは忘れてはならない。