示唆

2013 年 7 月 29 日

 東アジアカップ2013の戦いは終わった。
 中国がオーストラリアを4-3の乱打戦を制す。この結果により、中国は勝ち点を5に伸ばし日本が韓国に敗れれば初優勝をのがす展開となった。

 2戦を終え勝ち点4にいた日本は、仮に韓国と0-0で引き分けたとしても得失点差で中国を上回ることはできない。しかし1-1ではイエローカードの枚数によって優勝を委ねられる。中国は計7枚に対し日本は2枚、過去の日韓戦を考えると油断はできない状況にあった。

 非公開練習ができない状況を強いられた日本は、やり方も布陣も筒抜けの状態にあった。そのことも前半を圧倒された要因の一つだろう。

 それでも大会前から注目されていたFW柿谷曜一朗が、その期待にこたえるかのようにDFラインの裏を巧みにぬけ出し先制点をうばう。しかし8分後に追いつかれ1-1、スコアでは対等だったが韓国に圧倒され耐えしのいだ印象が濃い前半を終える。

 後半も、噛み合わない攻撃に、肝を冷やす守備に、歯ぎしりする選手交代に苛(いら)立ちを覚えたファンは少なくないはずだ。選手たちもイエローカードを増やし、中国の7枚に追いつこうとしていた。

 それだけに全てのうっぷんを晴らすかのようにアディショナルタイムにもたらされた柿谷の決勝点は価値があり、ロンドン五輪での借りを返した瞬間でもあった。

 同大会優勝も国内組だけの挑戦も初ではあるが、日本のレベルを考えれば、もはや快挙とは呼べないのかもしれない。

 それでも期待されながら期待にこたえた柿谷がいて、最終戦を不安視されながらも持ちこたえた守備陣には大きな拍手を贈らねばならない。この日は“綺麗な”1点を許したものの、久しぶりの1失点である。安定とは呼べなくとも、3戦をつうじて“通用する選手”は確実にいた。

 その選手たちがザッケローニ監督の眼鏡にかなうか、だけの問題である。

 試合会場には“新たな”問題を引き起こしかねない横断幕があった。韓国は開催国のアドバンテージを存分に生かした。有利な日程、非公開練習を不可能にする練習場、圧倒的アウェーの環境は国歌斉唱にブーイングも引き起こした。

 それでも勝ったのは日本である。

 過酷な環境で勝った経験は、出場した選手にとって来年のW杯に必ず生きてくるだろう。いや、生かさなければならない。アジア王者である男子は国内組だけでその価値を守ったのは、アジアにおいて脅威になるのは間違いない。

 その意識を出場しなかった選手たちもJリーグで戦うすべての選手たちが共有しなければこの大会での優勝はなんら意味を持たないのではないだろうか。

 指揮官はこの中で何人かの招集を示唆した。それでも割って入ってくる守備の人材を期待してしまうのは欲張りだろうか。


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