記憶

2013 年 7 月 26 日

 ザッケローニの印象を大きく変える先発メンバーだった。
 東アジアカップ2013は第2戦を終え、韓国と中国はスコアレスドローで終えそれぞれ勝ち点を2とする。日本とオーストラリアは3-2の乱打戦を制し、勝ち点を4に伸ばした日本がグループ首位に立った。

 3-1から引き分けに持ちこまれた中国戦、善し悪しはあったとしても、その全てを投げ捨てるかのように11人全員を交代する。就任以来、メンバーを固定する印象がつよかった監督のイメージを大きく変えるものだ。

 試合はボールを奪取してから、顔を覆(おお)いたくなるほどのミスが何度かあった。それでも送り出された選手たちは、結果的に、ではあるが期待に答えたと言えるのではないか。

 特筆すべきは2012年ロンドン五輪行きを確実視されていたFW大迫勇也の活躍は、この試合のハイライトにもなった。

 また、選手を配するシステムもこの日の勝利を助けることになる。監督は自身の代名詞ともされる3-4-3を就任以来、幾度かこころみるが、いまだ満足する成果を手にしていない。そして、就任以来から結果を出している4-2-3-1にこだわり続けた監督もこの日は4-4-2というシステムを試みる。

 初、といっていい2トップは思いのほか功を奏する。高さに優れるFW豊田陽平と万能型の大迫の愛称のよさは、たがいの長所を引き出すことに成功する。

 テストの意味あいが強い今大会だが、現段階では得点を記録していない選手をふくめた攻撃陣には誰もが及第点を与えられるだろう。しかし、守備陣には“赤点”を付ける者は少なくないだろう。

 事実、この日は大迫の活躍により、勝ち点3を収めることに成功したが勝ち点1でも何ら不思議ではなかった。

 最終戦の相手は開催国、韓国である。いまだ勝ち点2でグループ3位にいる永遠のライバルだが、オーストラリアと中国の結果次第では、勝てば優勝できる状況にある。そんな時に見せる韓国の気迫はすさまじいものがある。

 たとえば、ロンドン五輪の3位決定戦。3-0で敗れた準決勝のブラジル戦とは、比べものにならないほどの気迫をみせた。どちらもメダルが懸かった試合にも関わらず、日本相手に見せた“桁違い”の気迫は記憶に新しい。

 この日、芸術的な先制点で勝利に貢献したFW斎藤学は試合後、韓国戦に向け、『ロンドン五輪の借り』を口にした。世界最高峰の選手の1人に数えられるFWリオネル・メッシと似たプレースタイルを持つ小柄なFWもまたロンドンで屈辱を受けた1人である。

 44年ぶりのメダルを目の前で逃し、悔しい思いをしたのは選手だけではない。

 たとえ今大会はテストだとしても、テストには成果と結果が必要なのは言うまでもない。そして試合で受けた屈辱は、試合でしか返せないのも然りである。


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