双璧

2013 年 7 月 3 日

 無敵艦隊は事故に遭遇した。無敵艦隊と揶揄され続けたスペインは本物の強さを手にしていたが、公式戦では2010年6月以来、親善試合では2011月11月以来となる敗北を喫した。

 前回W杯王者と各大陸王者がブラジルに集結し、開催されていたコンフェデレーションズカップ2013は開催国ブラジルの同大会3連覇で幕を下ろした。

 1年後にW杯開催国として迎えるサッカー王国ブラジルは手を緩めなかった。半世紀以上の敗戦を昨日のことのように話す国民たちを納得させるのに必要なのは、圧倒的な勝利だった。

 たとえW杯を制覇しても、守備的な戦い方をしての優勝ならば「つまらない」と酷評されるのが、黄色のユニフォームを纏(まと)い、ポルトガル語で“代表”を意味する“セレソン”と呼ばれる者たちの宿命でもある。

 2008年、12年の欧州選手権の連覇、10年の南アフリカW杯を制した無敵艦隊は今大会の優勝候補筆頭にあげられ、決勝戦まで進むが勝負に徹するブラジルに0-3と圧倒された。

 “サッカー王国”とよばれ、その誇りをもつ“民”を内容、結果とも十分に納得させる大会だった。

 昨年11月にセレソンを率いるルイス・フェリペ・スコラーリは、就任からコンフェデ杯直前まで引き分けや敗戦などが続き、おおくの非難を浴びたが大会直前にフランスを3-0で下すと大会に入っても好調を維持する。

 2002年、日韓W杯制覇の経験をもつ64歳のブラジル人は、当時を思い出させる戦い方で大会を圧倒する。攻撃的な両サイドバック、中盤の底には守備力が高く、走れる2人を置き、攻撃の“核”にはスペシャルな選手をすえる。

 ロナウド、リバウド、ロナウジーニョといった11年前ほどのスペシャルな選手は揃わなくとも、ネイマールという若い才能は今大会の主役になった。

 また、スコラーリの隣にはアウベルト・パレイラが座る。テクニカル・ディレクターという役職につく70歳のブラジル人こそ「つまらない」と揶揄されながらも1994年のセレソンを率い、W杯制覇に貢献したその人である。

 W杯において、史上最多の優勝回数を誇るブラジルも1970年以降は優勝から見放されていた。つまらないながらも24年ぶりに4度目の優勝をもたらした監督と、華麗で美しく5度目の優勝監督が融合させた現セレソンは今大会5試合を戦い、14得点3失点という記録的な強さで他を圧倒した。

 ブラジルの地で戦うセレソンは大会終了まで手を緩めなかった。

 見方を変えれば、今大会セレソンと対戦したチームがそれぞれ1年後の優勝候補最右翼の強さを知ったのは事故であり、また幸運だったといえる。その事故から学ぶべきものを学び、修正し1年後に彼らを倒すチームが現れるのを目にしたいのもサッカーファンの楽しみではある。


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