閃光

2013 年 6 月 10 日

 9日、「Jリーグレジェンドプレーヤーズ」と「グロリエアッズーレ」のチャリティーマッチが東京・国立競技場で行われ、2-2の引き分けに終わった。Jリーグ黎明(れいめい)期に活躍した選手たちと主に1990年~2000年代に活躍したイタリアのレジェンドプレーヤーたちが試合を盛り上げた。

 来日したイタリアの選手たちの現役時代をみて、欧州のサッカーファンになった者は少なくない。なかでも神格化されるロベルト・バッジョ氏を“ひとめ”見ようとこの日、国立競技場に駆けつけたファンも多かったのではないか。

 イタリアの至宝とも称されるバッジョは、2004年に現役を退いたが現在でも絶大な人気がある。

 現役時代、イタリア代表が得点力不足におちいるとスタンドから「バッジョコール」が巻き起こった過去がある。この日も試合終了に近づくにつれ、ピッチに立って欲しい“想い”から日本でも「バッジョコール」が起こり、人気はいまだ衰えていない。

 バッジョをはじめ、この日のピッチに立てたのは日本でも“名が知られた選手”たちである。両国を合わせると星の数ほど“元”プロサッカー選手がいるなか、才能に恵まれ、努力を怠らなかったからこそ引退してもファンに愛されている。

 過去の栄光があったからこその選出だったのも間違いない。しかし、記憶に残っている選手の失態ほどつらい気持ちにさせられるものはない。

 日本代表が5大会連続でW杯本戦出場を決めたその日、“元”日本代表選手が妻への度重なるDVで逮捕された。

 プロ野球選手の場合は、入団時の契約金が「退職金見合い」として引退後に支払われるが、Jリーガーにはそれがない。ある種のセーフティーネットを元手に実業家に転身する選手も多いのはよく知られているが、Jリーガーは現役引退すれば収入はなくなってしまい、人生を左右する決断なのは言うまでもない。

 元日本代表選手も、テレビ解説者として活躍できるのは数えられる。指導者を目指す者も、現状のシステムのままではライセンス獲得すら難しい状況にある。

 昨年3月、日本プロサッカー選手会がJリーグ引退選手を毎年数十人雇用するプログラム「ほけんの窓口グループ」と「選手セカンドキャリアプログラム」を創設した。

 創設会見に臨んだのは、先月現役を引退し選手会長を務めた過去をもつ元日本代表、藤田俊哉氏である。だからこそ同氏の引退試合には多くの選手とファンが駆けつけた。

 皮肉にも容疑者とジュビロ磐田の黄金期を築いた先輩後輩の間柄だった。すべての日本人選手の引退後のケアまで考えていた先輩選手の背中から学ぶものはなかったのか。

 輝かしい過去をもつ選手は多い。しかし、閃光にも似た一瞬の輝きを維持できる選手は少ない。


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