拍車

2013 年 5 月 21 日

 1990年代以前、プロ野球チームを持たない都道府県民にとって、民放(民間放送)でテレビ中継されるほとんどの試合は巨人戦だった。47の都道府県の中に12球団あるが、巨人戦をまったく放送しなかった話は聞いたことがあるだろうか。

 なぜ、巨人は“巨人”になったのか。

 長嶋茂雄氏、王貞治氏、松井秀喜氏といった新旧のスター選手の存在が助けたとしても読売新聞社という親会社が多大な貢献をしたのは周知の事実である。莫大な資金とテレビを通してファンを増やしていったのは言うまでもない。

 日本サッカー協会最高顧問、川淵三郎氏が5月15日、国立競技場で「Jリーグ20周年記念式典」の席で挨拶を行った。1993年の同じ日、同じ場所で開幕の挨拶をした川淵氏の黒髪も20年が経ちすっかり白さが目立っていた。

 この日、試合を主催したFC東京は20年前の開幕チケットを持参したファン約60人を無料で招待する。リーグ戦ではなくナビスコカップの予選ということもあり、当時と比べれば空席は目立ったが裏をかえせば、平日開催のカップ戦でも12,000人が詰めかけるリーグになったことを実感できる。

 10チームでスタートしたリーグは20年後の現在、2部制にもなりJ1に18チーム、J2に22チームが所属し、来季にはJ3開幕が予定されている。アジア王者になること3回、W杯の常連国にもなり、アジアの強豪としてすっかり認知される「日本」になった。

 また、第3回WBC日本代表が発表されると田中将大選手(東北楽天イーグルス)は『代表といえばサッカーですが・・』というコメントを残すほど「日本代表」の代名詞にもなった。

 川淵氏の挨拶のなかで「W杯制覇、Jリーグ百年構想」の目標をかかげ、『(発展のために)叱咤激励してください』と語った。

 日本は強くなった。Jリーグ発足20年でとてつもなく強くなった。それと平行するように莫大な資金をもつ企業にもなった。J3が誕生すれば、日本サッカー協会はおよそ50チームをこえ都道府県数を上回る。特筆すべきは、これまでJリーグの各チームが試行錯誤をかさね地域に密着し、ファンを徐々に増やしてきたことだ。

 協会にとって最大の広告塔は「代表チーム」だが、更なる発展のためにはJリーグの民放を増やすことこそ更なる発展にはならないだろうか。現在、ファンは有料チャンネルを契約しテレビを通してチームを見守るのが現状だ。

 ただ、民放で放送するには資金がいる。だがその資金を協会はもっているのもまた事実である。協会からの補助金を出すことは可能なのではないか。スポーツに関わらず、テレビに映る人物を“生”で見たいのは人の心理でもある。

 テレビに映し出されるスターが、もし地元出身者ならば拍車がかかるのではないか。


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