度量

2013 年 5 月 5 日

 欧州CL(チャンピオンズリーグ)は準決勝が終了し、バイエルン・ミュンヘンとボルシア・ドルトムントが決勝戦に駒をすすめた。

 昨今のサッカー界を席巻してきたFCバルセロナを2戦合計7-0と完膚なきまでに圧倒したバイエルンは勢いにのっている。堅実なチーム作りに定評があるユップ・ハインケス監督は、今季限りでバイエルンを去る。67歳になる名伯楽に“花道”を用意すべくチームは一致団結している。

 一方のファイナリストは、間一髪といえる決勝進出だった。1戦目を4-1で勝利し、2戦目をレアル・マドリーのホームにおいて0-2と敗れながらもトータルスコア4-3で勝利し、決勝進出をきめた。もし0-3になっていれば、彼らはアウェイゴールの差で敗者になっていた。敵地での1点が2点分の価値があるのは、CLの面白さの一つでもある。

 ドルトムントがホーム1戦目であたえた1失点は軽率なものだった。DFマッツ・フンメルスのGKへのバックパスがミスキックとなり、失点する。

 前半終了間際の時間帯、今後を左右するアウェイゴール。監督によっては後半から交代を命ずるが、交代はせず後半を「0」でのりきった。第2戦もフンメルスは先発フル出場をし、16年ぶりの決勝進出におおきく貢献した。

 ユルゲン・クロップ監督はフンメルスを信じ、そして勝った。後半終盤にすさまじい攻撃をうけ2点を失うが、辛くも逃げきった。選手を信じた監督の「度量の勝利」ともいえる決勝進出だった。

 選手は監督を信じ、監督は選手を信じなければスポーツの世界で勝つのはむずかしい。サッカーの世界において最高峰の大会であるCLの舞台ならば尚更である。

 敗れたレアル・マドリードにはある種の“悩み”をかかえていたのはよく知られている。数人の選手と監督との不仲が報じられていたのだ。

 ビッククラブとは「タイトル」という名の結果を残し、その強さに世界中が注目し、その強さにみせられた者たちがファンとなる。近年のバルセロナがそれにあたる。サッカーがチームスポーツである以上、いくら個々の才能に恵まれてもチームとしての“結束”を欠いていては当然の結果だったのかもしれない。

 結束、という点に関していえば大宮アルディージャが分かりやすい。20戦無敗をなし遂げ、Jリーグ記録を更新しつづけている。そのことは彼らをとりまく環境を劇的に変えた。

 毎年のように残留争いをくり返してきたチームは、昨季終盤から積みかさねた勝利で昨年の10倍にあたるファンが練習を見守るチームにもなった。

 また「無敗」に裏打ちされた失点の少なさも監督と選手の信頼関係をよくあらわしている。こういう記録を作れるチームから、不協和音が聞こえてこないのも強いチームの証拠でもある。


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