新風

2013 年 4 月 24 日

 欧州CL(チャンピオンズリーグ)準決勝がはじまったが、イングランド勢のいない戦いに寂しさを覚えるファンは多い。

 その前夜、サッカー界において「名門」といっても過言ではないマンチェスター・ユナイテッドがイングランド・プレミアリーグ通算20回目となるリーグ制覇をなし遂げた。

 香川真司が欧州にわたり、在籍したチームすべてでリーグ制覇をし、“3連覇”したことになる。ドイツのボルシア・ドルトムントでは2連覇に貢献し、今季からユナイテッドに移籍した日本代表MFに「優勝請負人」と名をつける者もいる。

 任されている役割と選手層が異なるため、ドイツにいた“過去”と、イングランドにいる“現在”との比較はむずかしい。過去は、これからのサッカー界を担う若手ばかりだったが、現在は各ポジションに世界中から才能があつまる「名門」だ。そして、香川の場所は世界でも五指に入るほどの者たちと争わなければならなかった。

 そう、ウェイン・ルーニーとファン・ペルシーの2人だ。

 前者は10代でチームに入団し27歳になった現在では“柱”となる選手であり、後者は香川とともに今季加入した選手だが、昨季プレミアリーグの得点王になった逸材だ。2人以外にも各国代表の中心にいる才能たちとポジションを争わなければならなかった。

 それでもハットトリックを決めるなど、まずまずのインパクトを残した。才能たちと日々汗を流し、シーズンは終了していなくとも充実した時間をおくってきたはずだ。

 そして信頼も勝ちとった。開幕戦では鳴り物入りで入団してきた香川にお世辞にもボールが“集まった”といえなかった、だが優勝をきめたアストン・ヴィラ戦では香川を経由した場面や攻撃がおおくあったのは小さな証拠だろう。

 ユナイテッドにとって、今季のCLは不運なかたちで大会を去った。負ければ批判はつきものだが、そのサッカーは「古い」といわれている現状がある。そのチームに“新しい風”を吹きこめる選手として期待されているのが香川でもある。

 新しい風の中心になれるのか、を期待しているのは日本のファンだけではない。サッカーの母国でも、ユナイテッドを、プレミアリーグを次世代に連れていってくれる選手として香川は期待されている。

 欧州の“現在”をパウル・ブライトナーはいう。イタリアの凋落、スペインの偏り、イングランドの慢心を辛辣(らつ)に述べ、『今はブンデスリーガが世界最高だ』と誇らしげに語っている。1974年W杯優勝に貢献した元・西ドイツ代表選手はCLベスト4にドイツの2チームが残ったことは偶然ではなく、リーグの成功だともいう。

 そのドイツからサッカー界の名門に移籍したのが香川であり、その来季に期待が膨らむ。


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