受難

2013 年 2 月 7 日

 2月6日、日本代表にとって2013年の初戦となる国際親善試合が神戸で行われ、ラトビアを3-0で一蹴した。昨年10月、フランスを撃破したことにより少なからず日本は世界から注目を浴びる国になった。

 その国がアジア王者として望む、コンフェデレーションズカップが6月にブラジルで行われる。同グループにブラジル、イタリア、メキシコが入り、その強豪たちと来年行われるW杯本大会前に対戦できるだけでも価値がある。

 その中でもイタリアは、日本代表を率いるザッケローニの母国であり、そのチームを指揮するのはセリエAの舞台で監督として対戦経験もある旧知の仲チェザーレ・プランデッリである。

 ラトビア戦は、ザッケローニ体制となり最大の出場時間をほこるMF遠藤保仁の名が先発になかった。理由として、シーズンオフにある国内組に対し、シーズン中である海外組を起用することが前提にあった。史上初の海外組10人を先発起用した前半は1-0で終える。

 後半に入り、国内組の遠藤とFW前田遼一を投入する。どこか窮屈(きゅうくつ)だった前半とは打ってかわって攻撃は躍動する。その中心にいたのは国内組の2人であったのは言うまでもない。

 このチームの根幹をなすのは、誰なのか、ということを示した一戦でもあった。それほどまで彼は重宝され、結果をだせる選手になった。他の選手が“違い”をつくれ、腕や脚で相手を蹂躙(じゅうりん)できたとしても、この選手だけは腰であり、いわば頭脳である。

 ただ残念なのは、2013年初戦を迎えたことにより、その後継者をつくることができないまま、折り返し地点をまわってしまったことを意味している。それでも、遠藤よりも秀でた選手がいるか、と問われれば、答えに窮するのもまた事実である。

 遠藤の代わりをつとめるは難しくとも、その後継者を見出し、育成するのは可能なのではないか。

 イタリア代表にもMFアンドレア・ピルロという選手がいる。2006年W杯制覇にも貢献したこの天才もまた、代えのきかない選手である。が、その後継者と囁(ささや)かれるMFマルコ・ヴェラッティという若手の台頭がイタリアにはある。

 実際、ヴェラッティは毎回のように招集されピルロの技を体のあらゆる部分を使い、習得しているはずだ。『まだピルロのレベルにない』と謙遜する、165cmと小柄で顔にあどけなさを残す20歳の青年が同日、オランダとの国際親善試合でアディショナルタイムに代表初ゴールとなる同点弾を叩きこむ活躍をみせたのも成長の証といえる。

 日本が世界中から注目されている、とされる昨今、ただ勝つだけの時代は終わったのではないか。勝ちながら育てる、サッカー強豪国がさけては通れない受難な道の分岐点まで日本はきている。


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