世相

2012 年 12 月 14 日

 毎年12月12日に京都にある清水寺で発表される、今年の世相をあらわす漢字は「金」となった。
 選考理由として、およそ932年ぶりの金環日食が観測されたこと、山中伸弥さんのノーベル賞受賞、そしてロンドン五輪でのメダルラッシュなどが「金」になった理由だという。

 ロンドン五輪において、金メダルを予想され、それを獲得できなかった選手、競技からすれば、耳の痛いではある。

 日本サッカー界では世界王者として挑んだ女子は、金メダルを期待され、決勝戦までたどり着く。だが、元世界王者のアメリカに1-2でやぶれ、惜しくも銀メダル獲得にとどまった。追う立場から、追われる立場になった彼女たちが、同大会でみせたたくましさにある種の感動を国民にあたえ、そして熱狂させた。

 男子もまた初戦で優勝候補の一つに挙げられていたスペインを撃破し、波にのった。ベスト4まですすむ快進撃をみせるが失点されたその瞬間から、のちに金メダルを獲得するメキシコになす術なく敗れた。

 銅メダルをかけた日韓戦は、中盤の選手が宙に舞うボールを見上げる展開に終始し、0-2で完敗する。試合がおわると同大会で禁止されている政治的行為をおこない、両国のあいだに軋轢(あつれき)をこえた小さくない溝をつくった。

 先日、問題をおこした韓国人選手に「代表戦2試合の出場停止」と「日本円でおよそ31万円の罰金処分」が下された。過去に黒人選手が表彰台において、政治的行為をしたときに永久追放した過去をもつオリンピックにおいて、首をかしげたくなる罰なのは言うまでもない。

 12日、FIFAクラブワールドカップ・5位決定戦が行われ、開催国枠で出場したサンフレッチェ広島はアジア代表の蔚山現代を3-2で下し、注目された日韓対決は日本が制した。

 GKとDFの連携ミスによるオウンゴールで先制をゆるすが、焦らず、ショートパスで試合を組み立てる自分たちのサッカーを忘れなかった広島に軍配があがった。日本チームの、否、日本人の弱点でもある、中盤の選手がボールを見上げるような試合展開にならなかったことが勝因の一つだが、エースの佐藤寿人の“らしさ”が光った一戦でもあった。

 180cmを越える屈強な韓国DFにくらべるとずいぶん体格におとる佐藤は、人に対してではなく、ゴールへ逆算する動きでボールを呼びこみ、巧みにネットを揺らした。この事実もまた日本人らしさを際(きわ)立たせた。

 この勝利はメダルをかけた戦いではなく、同大会における順位決定戦という、味気のない一戦だったのかもしれない。

 それでも、勝った、負けた、とでは、これほどまで違うものであり、2012年最後の“日韓戦”に勝利したのは日本である。
 終わりよければ全てよし、とはよく言ったものである。


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