改善

2012 年 12 月 11 日

 FIFAクラブワールドカップ2012準々決勝が行われ、開催国枠で出場したサンフレッチェ広島はアフリカ代表のアルアハリに1-2で敗れた。

 想定外のアクシデントもあった。守護神であるGK西川周作の顔に相手選手のヒザが入り、開始早々8分に途中交代を余儀なくされる。のちに8針を縫う大怪我となる、この交代が勝敗を決したわけではないが、精神的な動揺は相当なものだったに違いない。

 日本代表のゴールも守った経験をもつ西川は、自身のショートパスから広島の攻撃が始まる。西川を経由し、DFラインでボールを丁寧にまわす。その間に前線はあわただしく相手の隙を突くのが広島の常套(じょうとう)手段であり、おおきく言わしてもらえるなら攻めの形である。

 その起点を失ったのはあまりに痛かった。

 動揺は隠しきれず、らしくない形でその7分後に先制点を奪われてしまう。それでも広島の主将であり、サッカー選手としては小柄なFWが巧みなポジショニングから1点を返す。

 今季のJリーグ得点王は、出し手と受け手の阿吽(あうん)の呼吸でそのおおくを積み重ねてきた。ただ、この試合に限っていえば頼りすぎたのではないだろうか。「佐藤寿人」という名前までは知らなくとも「11」を背負う選手が、このチームのポイントゲッターだということはアルアハリの選手たちは知っていただろうし、無論、合わせて来ることも彼らは知っていた。

 たとえば、世界屈指のリーガエスパニューラのピチーチ賞(得点王)を毎年のように争うリオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドの得点は“受け手”の技術はもちろんだが、“出し手”のサポートあってのものだ。

 誰もが知る“受け手”にマークが集中したときには、“出し手”みずからゴールに向かい、躊躇(ちゅうちょ)なく蹴りこむ。たとえ、そのシュートが外れても次への布石になる。

 この日の広島には、布石があまりにも少なかった。スポーツにうつくしい秘話がつきものだが、「騙し合いの心理戦」という醜(みにく)い側面をもっていることを忘れてはならない。

 広島の選手たちが巧みな戦術と洞察力によってDFラインの裏にぬけ出し、GKと1対1の場面を幾度となく作り、自ら決めることもできた場面は一度や二度ではなかった。その事をふり返るとあまりにも惜しい敗戦であった。

 終盤に佐藤がGKと1対1になり同点にする場面もあった。広島は、同大会における日本勢初のベスト4を逃した最初のチームにもなってしまったが、過ぎた時間は戻せない。

 12日に対戦する蔚山現代は、今季のアジアを勝ちぬいたチームであり、来季のアジアを勝ちぬくための試金石になる試合でもある。くやしさや後悔は試合でしか返せない。改善もまた然りである。


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