象徴

2012 年 12 月 7 日

 Provinciaというイタリア語がある。
 プロビンチャと読み、サッカー界では地方にある規模が小さなクラブチームを主に指す。ミラノやトリノといった北イタリアにある強豪やローマにある都市の有力クラブに比べるとプロビンチャと呼ばれるチームたちは戦力、資金ともに劣る。それでも強烈な地元愛をもつティフォージたちの熱烈な愛情によってクラブを支えている。

 そんな彼らはダイヤの原石を見定める確かな「目」を持っており、安価で選手を買い、活躍させて高値でビッグクラブに売却するのはよく知られたプロビンチャ独特のクラブ経営ではある。中田英寿氏もその代表例であり、地方クラブのペルージャでの活躍がみとめられイタリアのビッグクラブ、ASローマに移籍を果たしている。

 昨今の日本発ドイツ行きの移籍をみると世界の中のプロビンチャは日本と捉えられている。

 話はもどる。プロビンチャとよばれる彼らは戦い方を知っており決して無理をせず、とくに格上クラブと対戦する場合、“隙”をうかがう。負けない戦い方をまず行い、たとえ失点しても、とどめを刺せない相手には引き分けに持ちこむ鋭さをもっているものだ。

 クラブワールドカップ2012が開幕を迎え、開催国枠で出場したサンフレッチェ広島がオセアニア代表のオークランドシティを1-0で下し、9日にアフリカ代表のアルアハリと大会ベスト4を争う。

 本来の広島を知っている者からすれば、物足りない試合だったに違いない。リーグ2位となる34試合で63点を記録した攻撃は鳴りをひそめた。一発勝負がもつ特有の緊張感と、ゴール前をかため攻めてこない相手に最後まで攻めあぐんだ。

 逆の見方をすれば、セミプロのオークランドシティがプロ相手の0-1は健闘したといっていい。広島にとっては、ベスト4を争うアルアハリ戦からがプロ同士による試合で雌雄を決する。

 今大会は、広島の世界一も夢ではない、とみる識者も少なくない。

 アルアハリを倒せば、南米代表コリンチャンスの主軸はJリーグで活躍した選手がおおく、欧州代表チェルシーは本来の強さには戻ってはいない。十分、付け入る“隙”はある。

 来季につながる試合をし、来季こそはアジア王者として同大会に出場してもらいたい。今大会でみえてくる課題から選手を足すのか、引くのか。戦術は浸透し、熟成されるが、選手の伸びしろは監督とフロントの目が左右するものだ。

 世界を相手にチームを微調整できる絶好の機会だからこそ、今大会は来季を見据えたチーム作りの基準にしてもらいたい。

 監督がいくら欲しい選手がいたとしても要望がとおるわけではない。ただ、そういった要望を聞き入れられる理解あるフロント陣がかならず存在するのも強いチームの象徴でもある。


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