忍耐

2012 年 12 月 3 日

 サッカーの監督において、世界でもっとも優秀な監督は?という問いには好みも邪魔し、答えに窮(きゅう)するが、世界で一番勝ち続けている監督は?という問いの答えはさほど困らないものだ。ほぼ多くの人が『サー・アレックス・ファーガソン』と答えるだろう。

 イングランド1部マンチェスター・ユナイテッドを率い、歩んだ26年間はタイトルのみならず、米経済誌フォーブスにおいて世界一価値のあるサッカーチームにも選ばれている。

 20年目のJリーグが最終節を終え、サンフレッチェ広島の優勝は周知の事実ではあるが、ヴィッセル神戸、G(ガンバ)大阪という関西の両雄そろってのJ2降格は誰もが驚かされたのではないか。

 Jはおろかアジアを制した経験のあるG大阪は、Jリーグ誕生20年目にして初めてJ2に降格する。たとえ、ジュビロ磐田FW前田遼一の呪い(07年からリーグ戦において初得点をされたチームはJ2降格にあっている。07年ヴァンフォーレ甲府、08年ヴェルディ川崎、09年ジェフユナイテッド千葉、10年京都パープルサンガ、11年モンテディオ山形、12年G大阪)があったとしても、リーグ開幕3連敗というスタートダッシュ失敗したチームは結果的に最後まで本来あるべき位置に戻ることはできなかった。

 10年間チームを率い、みなが知っているG大阪をつくった西野朗前監督を昨シーズン終了時に解任した本当の理由を最後まで示せなかった。

 監督を交代させるということは、チームの方向性を変えることを意味し、その決断を下すクラブのフロント側は“賭け”といっていい。賭けには“読み”が必要とされる。
 その点でいえばG大阪は読めなかった。彼らは元日本代表FW呂比須ワグナー氏の監督就任を目論むが、同氏はJのベンチに座ることのできる資格、S級ライセンスを持ちえていなかった。

 その為、資格を持ったジョゼ・カルロス・セホーン氏を監督にすえる。呂比須氏をコーチという形で最終的にまとまるがリーグ開幕3連敗を含む公式戦5連敗で監督、コーチ陣、監督を招聘(しょうへい)した強化部長を早々に解任する。3月初旬に開幕するJリーグにおいて下旬から松波正信現監督がチームを率いる。

 日本代表において不動の座にあるMF遠藤保仁、DF今野泰幸という類まれな個があっても降格は避けられず、歩んだ10年間と異なるやり方では優勝争いはおろか、残留することすらままならなかった。

 西野前監督解任のおおきな理由は2年連続無冠とされているが、ファーガソン監督ですら就任当初はタイトルに恵まれず、無冠に終わったシーズンもあった。チーム作りにはフロントやファンを含めた忍耐という名の時間が必要なことをG大阪は身をもって示したのではないだろうか。


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