進化

2012 年 11 月 22 日

 J1昇格プレーオフは第1戦を終え、6位ジェフユナイテッド市原・千葉が3位京都パープルサンガを、5位大分トリニータが4位横浜FCをともに4-0で大勝をおさめ、23日に国立競技場で行われる決定戦に駒を進めた。

 シーズン最終順位により、引き分けでも敗退が決定する千葉、大分がみせた大勝劇に誰もがおどろかされたのではないだろうか。

 今季リーグ戦での対戦結果をみると、3月17日「千葉3-0横浜」、7月15日「横浜0-1千葉」、4月27日「京都1-2大分」、9月14日「大分2-0京都」という成績だった。

 奇しくも、リーグ戦ではともに2戦2勝している千葉と大分にとっては京都、横浜はたとえ順位が上であったとしても“お得意様”だったのかもしれないが、昇格を決める大一番でもみせた勝負強さに大きな拍手を贈りたい。

 4-0の結果を残した千葉と大分だが、1人で4得点を記録し、試合を決めた森島康仁の得点シーンはどれも度肝を抜かれるものだった。
 1点目はリーグ戦では一度も蹴ったことがなかったFKを直接決め、2点目はクロスボールに体を投げだし泥臭く決める。3点目はPK、4点目は裏に抜けだしGKとの1対1を冷静に決めた。

 身長186cm体重80kgという記録よりも大きく見えるこのFWは、サッカー選手というよりラグビー選手にちかい体躯(く)だ。2007年、北京五輪のアジア最終予選ではU-23日本代表にも選出され、“デカモリシ”と呼ばれた逸材を覚えている方も多いのではないだろうか。

 本田圭佑、長友佑都といった現A代表の主軸たちの多くが出場した北京五輪はグループリーグ3戦全敗という結果に終わり、その悔しさが現在の彼らを作ったのは言うまでもない。
 彼らにとって北京の地を経て“現在”があるのならば、北京の地を踏んでいない同世代たちにとっては日の目を見ない選手なのだろうか。

 答えは、否、である。

 実際、「怪物」と呼ばれた選手も、将来を嘱望(しょくぼう)された者たちも星の数ほど存在した。それでも現在、日本のトップにいる者たちはそういった評価とは無縁の場所にいた者がおおい。

 運もまた左右する。森島もその1人であり、たとえJ2に在籍していたとしても今季から設けられたプレーオフによりJ1に這い上がる千載一遇のチャンスを得た。与えられたチャンスで結果を出したからこそ、思い出され、またファンに希望をもたらすことが出来る。

 2009年、Jリーグから「経営破綻にちかい、あってはならない経営」と指摘され、どん底からチームを立て直し、這い上がってきた大分と、元日本代表監督イビチャ・オシムがチームを率い、一時代を築いたジェフ。多くが引きぬかれ、それでもチームに残った“最後”のオシムチルドレンたちが戦うプレーオフ決定戦に注目したい。


コメントをどうぞ