事柄

2012 年 9 月 27 日

 女子の躍進が目立つ日本サッカー界だが、男子に久しぶりの朗報が届いた。

 音楽に合わせてリフティングの技術を競う「フリースタイル・フットボール」世界大会がイタリアでおこなわれ、日本代表の徳田耕太郎選手が日本人として初優勝を果たした。

 ルールは制限時間の3分間で2人の選手が一つのボールを交互につかって技を競う。審査員が表現力、創造性、コントロールの3項目で評価をし、世界50カ国以上からあつまった精鋭が華麗なわざを披露する。徳田選手の優勝が決まると、会場にあつまった約1万5000人の観客を沸かせたという。
 このスポーツを勤しむ選手たちにとって力にもなる功績である。

 2年前のテレビ番組を思い出す。中田英寿氏は『日本でいう技術は練習で使える技術であり、試合で使える技術ではない』と、自身の経験を踏まえそう振り返っていた。続けて『練習だけをやらせたら、日本は世界でもトップレベル』ともいう。

 ロンドン五輪サッカー男子での準決勝、3位決定戦が思い出される。ビハインドを負った日本は試合終盤、両試合ともCBの吉田麻也をゴール前に上げ、パワープレーを試みるがゴール前にロングボールすら入れられなかったのが現状であった。

 『試合の進め方、駆け引き、気持ちの入れ方、日本はそこが上手くない』と番組で語ってはいたが、2年経った2012年になっても不思議と当てはまってしまう。

 なぜそこに。

 こと、サッカーのゴールシーンにおいてそう思うことは少なくない。インテルミラノに所属する長友佑都がヨーロッパリーグ・グループリーグ初戦でチームを敗戦から救う同点弾を叩きこんだ。
 試合はロスタイムに入り1-2という敗戦が色濃くなる状況で、左サイドの深い位置にいた長友は中央にドリブルで侵入する。味方にボールを預けるとそのままペナルティエリア内に入っていく。本来の左ではなく、逆の右サイドまで攻め上がる。このプレーが功を奏し、上がってきたクロスボールにぴたりと合わせた。

 試合後、長友は『負けていて時間がなかったので・・』とゴールシーンを振り返った。聞いていて当たりまえに思えるコメントだが、チームにはかならず規律がある。左サイドを任された選手が右サイドまで攻め上がるのはほとんど暴挙にちかい。だが、チームの規律を犯してでもゴールに迫り、それを成功させた。

 選手として、身につけた体力は時間とともにかならず落ちていく。だが、リフティングに代表される技術は選手として過ごす晩年までかならず残る。試合において、技術も大事だが、今なにが必要か、を分かることこそ選手にとって最も大事な事柄ではないか。

 イタリアの地で成長しつづける長友の得点には、日本人に足りない要素が詰まっていた。


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