類似点

2012 年 9 月 12 日

 06年、ドイツで行われたサッカーW杯において、分岐点となったのはグループリーグ初戦オーストラリア戦であった。1-0の試合展開から、相手監督フース・ヒディングの采配により、後半終了間際に3点をゆるした試合を覚えている方もおおいのではないか。

 日本を率い、神様、仏様、とたたえられたジーコは、大会が終わると「日本サッカーの功労者ではあるが、策士ではない」とまで蔑(さげす)まれた。それまで、当時のメンバーが持ち得た「質」に助けられた部分は確かにあったが、結果こそすべて、の世界に生きたブラジル人には切なすぎる末路がまっていた。

 そのジーコがそれから6年後、イラクを率い、ブラジルW杯最終予選という舞台で日本と対戦する。奇しくも、日本を率いた4年間を負けることなく過ごした、埼玉2○○2スタジアムである。

 この日、イラクの11人は、予想から10人をかえる“奇策”で日本に挑んできた一戦は、岡崎慎司と川島永嗣の「質」に大きく助けられた試合といっていい。

 日本人の良し悪しを知りつくすジーコが仕掛けた“奇策”はおもいのほか日本に効いた。平均年齢およそ22歳の若さあふれる、ノーマークだった選手たちが織りなす攻撃は、日本のゴールを何度も脅(おびや)かす。川島のビックセーブがなければ、といった場面は一度や二度ではなかった。

 攻撃においての若さは武器だが、守備においての若さは脆(もろ)さを露呈(ろてい)する。

 相手の裏をとった岡崎も見事ではあったが、相手の足が止まった一瞬を見逃さなかったフリーランニングの「質」の高さを見逃してはならない。決勝点となった前田遼一の1点を守りきり、勝ち点を10に伸ばし予選通過をほぼ手中にした。

 2010年よりザッケローニ監督が日本を率いて以来、勝利した試合のほとんどを、今回の配置、メンバーで戦い、歓喜をもたらしてきた。勝者のあいだは賞賛されるが、敗者にはおそろしいほど残酷な末路を用意するのは、ジーコをみて明らかである。

 2人は共通点がおおい。

 04年、11年というアジアカップ制覇。ウディネーゼ(イタリア・セリエA)では、ジーコは選手として、ザッケローニは監督としてチームの躍進をささえた一時代を築いている。イタリアで過ごした経験がそうさせたのか、試合のバランスを重視し、戦況を変える選手交代というカードを切るタイミングもまた似通っている。
 そして何より、メンバーを固定してたたかうその様も“瓜二つ”である。9月に行われた日本代表の2試合は、どちらも1-0という辛勝に終わった。

 それが、なにを意味するのか。

 10月、フランス、ブラジルといった強豪国と相まみえる欧州遠征が控えており、真価が問われるのは言うまでもない。


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