明日

2012 年 8 月 21 日

 歌手・岡本真夜さんの、『涙の数だけ強くなれるよ』で始まる大ヒット曲「TOMORROW」を記憶されている方も多いのではないか。

 アスリートは、オリンピックやW杯といった世界が注目する大会で、歓喜を味わう者と、挫折を知る者に分けられる。浮かれず、また、沈まずにその状況をいかに乗り越えられるか、否か、そのことに注目するファンもまた多い。伝説とされる選手もいれば、意地悪な見方をされる選手もいる。

 だが、アスリートの涙に言葉はいらない。

 それまでの苦労を知る関係者、ファンによって、ながす涙は語り継がれてゆくものであり、競技とは別の感動を与えてもらえるその瞬間でもある。

 先日、「甲子園で大泣きする選手は大成しない」といった記事を目にしたが、内容は、当たらずといえども遠からず、である。アスリートである以上、結果こそすべて、とされ残せなかった者は淘汰(とうた)され、忘れ去られてゆくのが通常だ。

 結果とは、勝利、または得点と言い換えてもよい。

 ロンドンから帰国し、所属するチームに合流した選手たち。チームは負けてしまったが、U-23日本代表ではたかい構成力を発揮していた、C大阪のMF山口蛍は見事なミドルシュートで今季初得点を記録し、MF扇原貴宏も致命的なクリアミスはあったものの、FKから得点を記録している。控えながら、ホンジュラス戦では右サイドバックとして出場した清水のMF村松大輔も得点を記録している。

 どんなに悔しい思いをしたとしても、その悔しさをいかにして晴らすか、が言うまでもなく選手生活の歩み方を変えてゆく。

 その点、直前で落選した浦和のMF原口元気は、オリンピックに出場を果たした鹿島のDF山村和也を見事な切り返しでかわしチームを勝利に導く得点を記録している。彼もまた味わった悔しさを放置していない。

 世界を知り、伸びる選手と伸び悩む選手はいる。当然だが、過去にもいた。その選手はW杯終了後、『もっとレベルの高い選手と競り合っていきたい』といったコメントを残していたが、不運にも怪我が重なり、一線から退いてしまう。選手である以上、レベルの高い選手と渡りあえる環境こそ、選手をあきらかに伸ばす。

 残酷ではあるが、自身がのぞむ環境は、己の力で作るしかない。

 そして、勝利が義務付けられた環境下でおこなう試合も、また他人が用意することはできないものである。躍進の原動力となった守備陣は、18日の試合では好プレーはあったものの、勝利、という結果を残すことをこの日は、出来なかった。

 岡本真夜さんの「TOMORROW」の最後は、『明日は来るよどんな時も 明日は来るよ君のために』と締めくくられている。選手にとっての「明日」をより良い形で迎えられることを祈るばかりである。


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