具有

2012 年 8 月 8 日

 南米選手権2011は日本が招待国として、参加するはずの大会だった。
 3・11東日本大震災の多大なる影響、海外組の招集できないことを理由に出場を辞退し、おおくのファンが肩を落としたのは記憶に新しい。
 だが、招待国が日本以外にもう一国あったことはあまり知られてはいない。

 1968年以来の準決勝を戦う日本とメキシコにとって、史上初の決勝戦進出をかけた戦いは、3-1でメキシコが勝利し、悲願の決勝戦に駒をすすめた。

 試合序盤から、重苦しい雰囲気はあった。両チームの緊張、疲労もあったのか、今までとは違う何かがあった。それでも、大津祐樹の矢のようなシュートで先制に成功するが、重苦しさは消えない。今までのような、躍動感がピッチにはなかった。

 1失点目のCKの守備、選手の短所と長所、ねらう選手をこまかく調べ尽くし、よく研究されていた印象が強かった。
 「サッカーはミスをしたほうが負け」とはよくいったもので、目を覆(おお)いたくなるミスを繰り返す日本に対しメキシコは、パス回しでは無理をしないが時にするどく、追い込まれてもあわてないドリブル、1対1の守備の強さも光ったが、当たり負けをしないフィジカル、止めて、蹴るという何気ない基礎技術の差は、より顕著だった。

 この試合、はじめての経験が多すぎたことも日本を苦しめた。失点されたことのなかったチームは、これまでに戦ったどのチームよりも強い相手からそれを許してしまった。大きく崩れることはなくても、決勝トーナメント進出を目指したチームと、準決勝、決勝に合わせてコンディションを作ってきた両者とでは、勝負はすでに決していたのかもしれない。

 同じ44年ぶりの準決勝でここまでの差はどうしてついたのか。

 答えは昨年おこなわれた南米選手権にあるのではないか。彼らは南米のA代表相手にグループリーグ3試合を戦っている。この大会を優勝したウルグアイを肌で感じ、ペルーには、のちの大会得点王に勝負を決められ、世界のビッグクラブの中心選手が名をつらねるチリに敗れ、屈辱の3連敗という経験が今日のU-23メキシコ代表をつくった、と考えても不思議ではない。
 日本もU-23世代で参加する案もあったが、これも逃している。この日の惨敗はサッカー協会全体の敗北といっても過言ではない。

 強いチームを作るのに必要不可欠な「継続性」がメキシコにはあったのだ。

 決勝進出を逃したが、銅メダル獲得のチャンスがまだあることを忘れてはならない。本当の悔しさを知ることができるのは試合をした選手だけだが、味わった悔しさを晴らすことができるのも、ファンに歓喜をもたらすことができるのも、試合をおこなえる選手だけである。
 そのことだけは決して、忘れてはならない。


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