2010 年 6 月 3 日

後半23分、ルーニーの放ったシュートを川島が弾き出したシーン。
私は思わず「ナイスキー!」と叫んでしまった。
素晴らしいセーブであったのは疑いの余地はない。
辛口で有名なイタリア紙ガゼッタ・デル・スポルト紙から、この試合唯一7・0の評価を貰った印象的なプレー。

そのルーニーのシュートのハイライトでほんの1秒2秒であったがイングランドのサポーターのシーンが目を引いた。
拍手をしていた。
イングランドのファンはゴールキーパー(以下GK)に対して、非常に評価が厳しいのは御存じだろう。
故に素晴らしいプレーをすれば、敵味方関係なく賛辞を贈る。
川口能活も2001年イングランド、プレミアリーグのポーツマスに入団している。
アジア人初のGKとして初の欧州移籍を果たす。
しかし、移籍当初は順調ではあったが次第に出場機会に恵まれず、出場しては失点を許すGKに対しサポーターはブーイングをしてしまう。
味方サポーターが個人に対してブーイングをする。
日本のJリーグでは考えられない事がプレミアリーグでは行なわれてしまう。

最近ではプレミアリーグの試合がライブで観る事が出来る。
是非、観て頂きたいのだが敵チームであろうと素晴らしい活躍をするGKには拍手が贈られている。
事実この試合終了後、川島はイングランドサポーターの前を通る度に拍手を贈られている。
日本でも是非とも真似していきたい行為であると共にスポーツの、サッカーの美しい側面に思う。

今更、川島が選手としての才能に疑いの余地はない。
川島が18歳の時、イタリア・セリエAのクラブへ留学している。
若手選手達が出場するヴィニョーラ・トーナメントというトーナメントに出場、チームは優勝を果たし、川島自身ベストゴールキーパーに選出されている。
この活躍を見たACパルマから移籍の打診を受けたのだが、当時在籍していた大宮側が断った。
この時、川島を誰よりも欲したのは現イタリア代表GKジャンルイジ・ブッフォンを育て上げた名伯楽エルメス・フルゴーニである。
当時、フルゴーニはACパルマのGK育成コーチ兼スカウトをしていた。
そのフルゴーニが18歳の川島を日本人の川島を欲しがった。
もし、この時イタリアに渡っていたならば時代は変わっていたかもしれない。

その後の川島のサッカー人生は各世代の日本代表に選出されるもアテネオリンピック代表に落選。
決して順風満帆ではなかった様に私には映る。
その川島が度々ある男に国際電話をイタリアにしている。
エルメス・フルゴーニである。
イタリア語を習得した川島が何を話しているかは知る由もない。
ただ、フルゴーニは『川島は息子の様なものだよ』と語っている。

2010年5月10日ワールドカップ南アフリカ大会のメンバーが発表された。
川島は勿論フルゴーニに報告したという。
5月30日、イングランド戦をフルゴーニは観戦したかどうか定かではない。
今大会優勝候補のイングランドを前に躍動する川島を観戦していたのならフルゴーニは何を思い、何を感じたのだろうか。
そんな空想に耽ってしまう。
あの試合の中澤や闘莉王を責めるつもりは毛頭無い。
イングランドには負けた。
その事実は変わらない。
では果して、あの日の川島を前にイングランドは得点を挙げる事は出来たのだろうか。
私には疑問符である。

たかだか1試合でスタメンに入れるとは思わない。
だが、その1試合で岡田監督の心は間違いなく揺れたと思う。

経験が何より重要視されるGKというポジションでは楢崎や川口には勝てないだろう。
しかし、短期決戦のワールドカップはコンディションが何よりも重要視される。
イングランド戦で自信を深めた川島。

今の川島を使わないのなら、私はそれだけでミスだと考える。


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