秘訣

2012 年 7 月 27 日

 ロンドン五輪のサッカー競技が開会式よりもひと足はやく開催され、日本は女子、男子ともグループリーグ第1戦を白星発進に成功した。

 なでしこの戦いぶりは、小さなズレをすこしづつ戻していく、そんな戦い方だった。チームの大黒柱、澤穂希がピークに近い状態にもどってきているのが好印象で、ドイツから日本、そしてロンドンでの、ものがたりの書きはじめをどうするか、そう考えているくらいの余裕がみてとれた。
 大舞台につよい選手がもどってきたことをチームに大きく印象づけ、ひょっとしたら勝利よりもおおきい収穫だったのでは、とすら思えた。それくらいの価値があり、これからもすべての相手から追われる立場として、きびしい試合がつづくなでしこたちにとって、大黒柱がもどってきたことが何よりも大きいのは言うまでもないだろう。

 男子は、前日のなでしこと戦ったカナダに近かったのかもしれない。世界王者あいてにどこまでやれるか、それに加え、世はスペインの春である。強すぎるがゆえのアンチが生まれるほどのサッカーで、ファンを喜ばせているその国だ。
 そのスペインから先制しただけでも価値はあったのだが、勝ちきってしまった。

 思い起こせば、マイアミの奇跡は起こしたのは日本だったが、奇跡をおこされた相手は当時の世界王者ブラジルだった。
 ボールを支配され、攻め続けられ、自軍に貼りつけられる、といったことが予想されていたが、試合は日本の作戦勝ちといってよい内容だった。いくら個の技術がたかくても、集団としての目的が、ある、なしという差がでた試合は、日本を混乱させることが最後までできなかった。

 「スペインの春」をつくった兄貴分たちが、いかにして世界王者になったのか。どんな相手にも勝ちきる、深みのある強さの秘訣(ひけつ)は何なのか、弟ぶんたちが試合をもってして教えてしまった。

 自転車のパーツはすべて優秀だったが、上り坂ではゆっくりとこぎ、スピードがでる下り坂でも力任せにこいだのだ。現スペイン代表MFのおおくは、時間、場所、状況がわかっていて、タイミングをはかれる選手がおおく、弟ぶんたちは一歩まちがえたときの試合を演じてしまった。危険な場面でボールをつなぎ、自滅した印象はとくに強い。ぎゃくに日本は、チーム発足時からつらぬいた前線からの守備、それができる人選、を批判されようともつらぬいた信念は本番で、優勝候補をまえに花開いたその時だった。

 追加点をとってトドメを刺したかったが、それ以外はかんぺきな試合運びをみせてくれた。96年、マイアミの奇跡は1戦目を勝利したのちに崩れたのは承知の事実である。大事なのは次節のモロッコ戦、ここを勝ちきることが今後をわける。


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