王様

2012 年 5 月 22 日

 イタリアの港町ナポリは現在でも、ところどころにディエゴ・マラドーナの絵が描かれている。

 さらに路地裏の壁には人工的な穴があり、そこにはマリア像とディエゴ・マラドーナの像がまつってある写真を見たことがある。それも1つや2つではない。かなりの数があるそうだ。

 1984年にSSCナポリにやってきたマラドーナはナポリの民にすべてをもたらした。民は「ナポリの王様」と崇拝し、無名だったチームは世界中にその名を馳せた。

 王様には面白いエピソードがあり、やってきたチームが降格争いをするほどまで弱小チームだった事を知らなかったそうだ。それでも世界中で“神”と崇められた左足から織りなされる技術は弱小チームを欧州屈指の強豪に仕立て上げる。
 当時、世界最強を誇っていたセリエAで、マラドーナが在籍した8年間で国内タイトル4回、国際タイトル1回という驚くべき数である。

 1990年イタリアW杯後、人格を崩し、翌年チームを去る。
 マラドーナを失い、再び降格争いをくり返すチームに成り下がると、行き着いたさきは破産であった。
 ナポリは、破産の失意にくれてもマラドーナの亡霊といまだダンスを踊り続けている、と例えられ、市民は『今日は涙を流しても 明日はほほ笑み 明後日には笑っているかもしれない 人生とはそういうもの』と口を揃え、勇気づけていた。

 2004年にナポリ生まれの現オーナー、映画監督で資産家のアウレリオ・デ・ラウレンティスがチームを買収し、「ナポリサッカー 2004」と名を改め再スタート。
 セリエCからの挑戦も05-06シーズンにセリエBへ、06-07年にはセリエAに舞い戻ってくる。その後は上位を争うが、マラドーナ以来の優勝には手に届かない。

 むかえた2012年、国内カップ(コッパ・イタリア)決勝戦までたどりつく。相手は今季リーグ戦、カップ戦を含めたすべての試合で無敗のユヴェントスである。

 下馬評をくつがえしナポリが2-0で勝利し、イタリアの港町に王様以来25年ぶりの歓喜が訪れた。


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