成人

2012 年 3 月 13 日

 20年という歳月は生まれた赤子が成人式を迎える歳になる。

 3月10日、20年目のJリーグが開幕を迎えた。
 Jリーグが開幕した当時は現在のようなW杯常連国、という立ち位置になると誰が予想しただろう。
 目標や夢が現実の世の中になった。地域によっては20年を過ごしても、W杯常連国に遠く及ばない国がある中、右肩上がりの成長と呼んでいいだろう。

 Jリーグの開幕を告げるゼロックス杯が3月3日、国立競技場で行われ2-1で柏レイソルが勝利を納めた。前年度リーグ王者と天皇杯王者が争う一戦を前に両チームの主将が宣誓を行い『被災した方々に希望や勇気を与えられるプレーをする』というフレーズが心に残った。

 勿論だが、昨年には聞けなかった言葉である。

 試合はJ1一年目ながらも制覇し、世界大会をも経験し、地力をつけた柏が勝利を納めた。J2で一年を過ごしたFC東京も監督交代、主力の移籍などが重なるチーム状況にも関わらず、ときに互角以上の試合運びをみせる。
 だが、チームとしての完成度も高く、試合巧者の柏から同点弾を奪えずに試合を終える。
 強いチームを作る上で重要なかぎの一つに数えられる、継続性の価値を改めて学ばせて頂いた試合であった。



 Jリーグが開幕し、各チームがそれぞれの勝ち点を獲得したわけだが、勝利し3点を獲得したチームの今後が気になる。
 自信を深められるのはもちろんだが、キャンプでの成果も、今後の方向性を再確認できる。たかが1節かもしれないが、これから行われる他の1節とは大きく異なり、大きな価値を持った3点である。

 勝ち獲った最初の3点を生かすも殺すもチーム自身の力によるところが大きいが、ファンの喜びを継続させていくのは勝利であり、その勝利を最後まで追い求めていくのは大なり小なりプロと呼ばれるサッカーチームの務めでもあることを忘れてはならない。

 その点、第一節を勝利したFC東京は素晴らしく映った。
 主将であり、守備の大黒柱の今野泰幸はガンバ大阪に移籍し、J2制覇に大きく貢献した大熊清監督をも失ったチームはゼロックス杯で惜しくも敗れた。
 崩れてもおかしくはない状況でアジアチャンピオンズリーグ(ACL)を迎え、アウェーでの戦いながら勝利を飾る。
 日本から出場した他の3チームが敗北、または引き分ける中、ACL初挑戦のチームが勝ち点3を獲得。そして迎えた開幕戦も勝利し、目下2連勝中である。

 お金を貯めるのは難しく、使うのは簡単なように連勝はむずかしいが、連敗はいたって簡単にできるものである。一度敗れたものが敗因をみつけ、修正する。その能力が高ければ高いほど、そのチームは強く、ときに魅力的に映るものだ。

 連敗をしないチームが多く現れることを願うばかりである。連敗さえしなければ、チームも、個人も勝負強くなるのは勿論だが、Jリーグもより一層の輝きを増すのではないか。
 今季は各チームに連敗しない強さを求めたい。
 その強さの先にこそ、日本サッカー飛躍が待っている気がしてならない。



 『被災した方々に希望や勇気を与えられるプレーをする』

 勇気や希望を与えるには、まず、なにをすべきか。
 人間に例えれば成人になったJリーグが、どこかの成人式会場にみる荒れた光景を決して見たくないものである。選手、監督、チーム関係者、メディア、そしてファンが生み出す雰囲気こそが勇気や希望を持たせてくれるのではないか。

 20年目の、大人の雰囲気があるJリーグを心から期待している。


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