長友佑都がインテルに移籍し、活躍を続け、いまやチームの柱になりつつある現状を誇らしく思っている。
それは今でもなんら変わらない。
18日、ユベントス・スタジアムで、すれ違うイタリア人の視線は温かいものではなかった。最初は分からなかったが、偶然でなかった事が17日のハイライト映像が流された時に理解できた。
インテルはボローニャにホームで0-3と惨敗し、インテルの失点シーンの度に皮肉たっぷりの大歓声が起こる。
「仲はよくない」とは聞いていたが、そんな陳腐でかわいい表現ではない。
憎悪が込められ、その時も一人でいる日本人に向けられた視線は温かいものではなく、その時に感じたのは日本人としての恐怖でしかなかった。
どこかで「日本人選手のいないチームに日本人が一人で観戦しているのだから」とポジティブに考えていたが、そんな事は全く関係なかった。
日本人=インテルと置き換えられる位の憎悪を感じた。
何故、ユベントスがインテルを嫌うのか。
今に始まった話ではないにしても、昨年とあるレストランのイタリア人従業員から聞いた話は目からウロコなもので、イタリアに来て同じ事を尋ねてみると全く同じ答えが返って来る。
カルチョ・スキャンダルの事件は誰もがご存知だろう。「ユベントスのGMモッジが審判を操作した」日本ではこれが通説だ。
ユベントス、インテルのファンではなくともイタリアでは日本と全く異なる答えが返って来る。
そして言う『黒幕はモラッティだ』と。
19日、スタジアム・ツアーに参加した。10€を払えばユベントス・スタジアムに入ることが出来る。30人位が1組で動くのだが、たった一人の外国人をキエッリーニ似のガイドさんが英語で話しかけ、気にかけてくれる。
バスの到着口から、選手のマッサージルーム、幹部になったネドベドが試合の度に座っているシートを見ることができ、メイン席のシートは他のものと大きく異なっていた。
ドレッシングルームも入れるのだが、ここだけは写真撮影がNGだった。
部屋はコの字型に作られていて、かどの2人しか座れない部分がある。1人は誰でも分かる選手だが、もう1人は意外な選手だった。そういえば、試合前のウォーミングアップの時に先頭を走っていた選手だった。
ちなみにDFの柱キエッリーニの席は意外な位置に設けられている。
ドレッシングルームを出るとピッチへ向かう道中、名門を創り上げた偉大なレジェンド達のパネルが現選手たちを見送る。現監督のパネルが取り付けられている位置がまたにくい場所にある。
ピッチに出る直前の通路の左右にレジェンド2人のコメントが書かれている。
今季のユベントスは未だ、無敗である。その理由が理解できる気もした。ヒントはイタリア人ではない、という事。
ツアーの終盤、ガイドさんが『質問はない?大丈夫?』と気遣ってくれた。大丈夫です、と答え、『いつか日本人ジョカトーレが入団出来る事を願っていますよ』と言うと、『そんな遠い未来ではないと思うよ』と真顔で答え、小さく笑った。
言うまでもなく、私もそう信じている。