意思疎通

2012 年 2 月 1 日

 本田圭佑のラツィオ移籍が破談した。
 カルチョの強豪チームに日本屈指の攻撃的MFが加入する事を楽しみにしていたファンも多かっただけに残念なニュースとなってしまった。

 報道では両者の希望に3億円の差があり、譲歩出来なかったが故の破談とされている。が、真相は本人、代理人、チーム関係者しか知ることはないだろう。
 昨今、「BRICs」と呼ばれるほど、経済成長著しい5国の内の「R」のクラブチームが下した決断に首を傾げたくなるファンも多かっただろう。
 一部では本田が所属するCSKAモスクワを「監獄」よばわりされているが、これも当事者にしか知り得ない事実であり、多くを語れない部分は必ずある。

 およそ10年前、同じ経験をした者がいた。
 中田英寿氏である。
 『試合に出場する事を一番』に挙げた当時21歳の若者が選んだチームはセリエAに昇格一年目のACペルージャで、その活躍が認められASローマに移籍するわけだが、ペルージャからローマに移籍する時期は、まさに「監獄」があった。

 ガウッチ会長は中田氏にこう告げたという。
 『お前には一生、我が家の庭で働いてもらう』と。
 所属しているとはいえ、許される話ではないし、まかり通る話でもない。だが、セリエAで前例のない程に活躍した日本人選手は迷うしかなかった。前例がないという事は、危険を回避する能力の欠如を意味する。
 我々にだって起こりうる事態で、海外旅行に行き現地でトラブルに巻き込まれる、まさにそれだ。一度でも経験していれば対処は容易だが、最初は誰でも慌てる。

 所属するマネージメント会社のスタッフと毎晩、頭を悩ませた末にFIFA公認の優秀な代理人と接触する。
 それがジョバンニ・フランキーニ氏である。
 何十歳も歳が離れた日本人を『仕事を超えた友人』と信頼し、引退を口にすると仕事をぬきに、友人として懸命に止めたという。

 フランキーニ氏の甲斐ありローマに移籍すると、ローマの気高いプライドを持つティフォージから「ローマの将軍」と愛されるまでになる。

 以前「本田、代理人クビ」といったスポーツ紙の一面を見たが、現在の代理人は本当に優秀なのだろうか。というのが今回の騒動に対しての、個人的な感想である。
 例え、優秀な代理人に出会ったとしても意思疎通がしっかり取れ、同じビジョンを描けていなければ、あまり意味を成さないのは言うまでもない。

 何故、中田英寿がローマに渡ったか。

 ローマを取り巻く全ての者から絶大な信頼があるフランチェスコ・トッティが同じポジションにいてもフランキーニ氏は中田氏にローマを薦め、本人も納得した。
 そして、スクデットを獲得している。

 参考資料 「中田英寿 誇り」 著者 小松成美  幻冬舎 より


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