変化

2012 年 1 月 20 日

 昨年、日本の桜が満開の頃にミラノダービーが行われた。

 3.11から間もない時期に行われた一戦は移籍したばかりの長友佑都には最後まで出番が回って来なかった。
 セリエA昇格一年目のチェゼーナにいた日本人が世界を代表するサッカークラブインテルに移籍し、世界指折りのダービーに出場する。
 個人的に「あの」ミラノダービーに日本人がピッチに立つ事を心から楽しみにしていたが期待だけで終わってしまう。

 昨春、未来に絶望を感じていた日本人がイタリアに渡った若者の躍進がニュースになり、沈んだニュースばかりだったあの頃に届けば、喜びは決して小さくない、そう強く思っていた。

 「こんな機会はもう二度と来ない」
 「長友なら来季は必ず」

 試合後、ファンの意見を大きく分けるとこの2つがよく聞かれた。
 昨季、出場しなかった55番は今季のダービーで躍動した。アシスト記録が付いてもおかしくないクロスを上げ、効果的なシュートも放った。
 同ポジションの選手が投入されても、交代はせずに前のポジションを任される程に信頼を勝ち取った。
 昨季は新人扱いの選手が1年を経て、チームに必要不可欠な選手になった。
 監督が交代しても、である。
 世界中の才能が集まるチームにおいて、先発フル出場を繰り返す長友をもっと評価していいのではないか。


 イタリアでミラノダービーが行われている頃、日本では東京大学が秋入学案を検討しているというニュースを目にする。
 全学部の入学時期を秋に移すことに関連して、東京大の調査では学部に所属する1万4000人の学生のうち、海外へ留学した人数は過去10年間、年間30~60人台に低迷している。 留学をためらう主な要因は、海外の7割の国で大学が秋に始まるため、留学すると帰国してからの卒業が1年遅れてしまうことだ。

 学部で迎え入れる留学生の比率も、米ハーバード大が10%なのに対し、東大は1,9%。こうした現状は、東大の国際的な評価にも直結する。英国の教育・就職情報会社による世界の大学ランキングでは、東大は2005年の19位から11年には25位に下がり、香港大に抜かれてしまった。
 こうした事情から、東大の浜田純一学長にとって、秋入学は悲願だった。浜田学長は『欧米の有力大学でさえ世界全体を視野に置いた体力強化に乗り出している。東大が動くことで日本社会全体の意識を変えたい』と意気込む。

 その他、多くの学校関係者が『桜が咲く頃に入学させたい』と聞くが、この意見は個人的にいささか不可解だ。
 桜が咲く季節は決まっていて年々違うとはいえ、大きくは変わらない。だが、桜前線というものがあり地域によって咲く時期はズレる。2月に咲く地域もあれば5月のGWに咲く地域だってあるのを忘れてはならない。

 Jリーグは何年も前から「秋春制」を掲げても、実行に移せないでいる。
 その理由としてスポンサーの年度末決算などが挙げられ、桜と共に1年がスタートする、というのが現在のやり方で旧態依然な体質は変わることなく時代に合わせた考え方を微塵も感じさせない。

 浜田学長の『欧米の有力大学でさえ世界全体を視野に置いた体力強化に乗り出している』の御意見は現在の日本サッカー界においても当てはまる。
 世界と日本のカレンダーは異なり、世界が休んでいる時に戦い、世界が戦っている時に日本は休む。海外組の招集は極東の土地柄、移動だけで体力をすり減らしているのが現状だ。

 現在よりも、強くなりたいなら変化するしかない。

 何の世界でも進化を止めた時点で退化が始まる。
 今年の桜までに残された時間はあまりに少ないが来年の桜までには多くの時間が残されている。
 選手が進化し、選手をサポートする立場にある協会の現状維持はあまりに寂しい。
 英断は東京大学が先か、サッカー協会が先か。
 個人的に楽しみである。


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