元旦

2011 年 12 月 29 日

 日本サッカー界にとって2002年の最大のハイライトが日韓W杯だとすると、2003年のハイライトは何か。

 29日、天皇杯準決勝が行われ、FC東京、京都サンガFCが決勝戦に駒を進めた。
 J2に所属するチームが1チームだけでも史上初の快挙だったが揃って決勝進出という事実には正直おどろきを隠せないでいる。
 J2から昇格した柏レイソルがJ1を制覇した今季、J2の在り方を変え来季のJ2に在籍する全てのチームにとって大きすぎる希望を抱かせたのではないか。

 この結果に日本サッカー界の変革期すら匂わせる。

 今季をJ2で戦った両チームから放つものは凶暴な攻撃性であり、故の楽しさが挙げられる。
 スポーツ観戦の娯楽性に富んでいた。
 FC東京はJ2最少失点数という結果も頷ける、盤石とも呼べる守備を披露してくれた。守備の中心を担う今野泰幸のピンチの時に大きく蹴り出せる技術、特筆すべきは自身の持ち味でもある予測の鋭さがこの日も光った。結果1-0のロースコアながら今野なしでは勝利も難しかったのではないか。
 噂されるG大阪移籍も天皇杯覇者に与えられるACL出場権で大きな変化をもたらすだろう。

 京都は凶暴な縦への推進力があった。ポストやバーを叩くことも多く、4-2というスコアから伺えるようにノーガードで打ち合いを好むチームであり、例年よりも寒気が強いなか国立競技場まで駆けつけた多くのファンも喜んだのではないか。
 ベテランの域に達した中村俊輔のみせる技術の高さ、異次元とよべる視野の広さに会場はどよめく。後半ロスタイムに追いつく辺りも老獪とよべる試合運びだったが試合を決めたのは京都の18歳、久保裕也だった。

 延長前半14分から試合に入ったこの若者が残した1ゴール1アシストという結果は個人的に期待した19歳FW宮吉拓実を大きく凌駕するものだった。シュートの巧さは言うまでもないが、駒井善成へのアシストは相手のタイミングを外した素晴らしいものであった。
 目を見張るスピードや驚くような技術を感じることはなかったが、およそ15分間の出場でもたらしたものは決勝戦でも大きくチームを助けることだろう。

 負ければ首が締まるプロの監督という世界で若い才能を積極的に起用する南アW杯日本代表コーチを務め、現在、京都を率いる大木武氏に大きな拍手を贈らなければならない。


 2003年元旦に京都パープルサンガが天皇杯を制覇した。
 この決勝戦で同点弾を決めた朴智星(パク・チソン)が後世になって「アジアの星」と欧州中で呼ばれる未来をいったい何人の人が予測できただろうか。
 うやむやな記憶の中でも未来に輝ける大会がある。

 希望の欠片すら感じない、残酷すぎるニュースが多かった2011年もあと数日で過去になる。
 サッカーに興味を抱かない方が2012年の元旦開催のこの試合を観たとき、大きな希望を抱ける試合になることを心から祈っている。


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