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2011 年 12 月 15 日

 強き者は一瞬の隙を見逃さない。

 直近で思い出せるのは2009年のオランダ戦でのスナイデルが決めた2点目に尽きる。中澤佑二が足を滑らせた一瞬を見逃さず、50cmもなかった隙間を縫うように決められた得点である。

 12月14日クラブワールドカップ準決勝が行われ、南米王者サントスFCが開催国枠で出場した柏レイソルを3-1で破り決勝戦へと駒を進めた。

 柏の勝利を願った者たちにとっては納得のいく敗戦だったのではないか。
 後半から出場したチームの顔であるベテラン北嶋秀朗が何度となく好機を演出し、サントスを苦しめた。今大会注目選手の一人ネイマールが決めた先制点は今大会のベストゴールに数えられるだろう。
 いわゆるスーパーゴールで、拍手を贈るしかなかった。

 試合序盤は強豪特有の畳み掛けるような入り方ではなく、穏やかな入り方で“もしかしたら”といった類の希望を多くの方が抱いたのではないか。
 その希望を打ち砕くのにはあまりに儚く美しい、誰も責められない得点で個人のアイデアと技術が凝縮された得点だった。
 ボルジェスの2点目に日本サッカー界の弱点がみてとれた。過去にベガルタ仙台に在籍経験を持つ、云わば「日本人」を知るボルジェスが迷うことなく右足を振り抜いたシーンだ。
 ネイマールの動きに気を取られたのは理解出来る。だが、ネイマールという名前にも引っ張られたのではないか。
 シュートもひざ下の振りも少なく、無回転のシュートを打てる技術を差し引いたとしても余りに惜しい場面だった。決して止められない類のシュートではなかった筈だ。一瞬の隙を突いた、ボール1個分のスペースがあれば迷うことなく狙って来るあたりはJリーグ所属のFWに多くはないシュートだった。
 “打ってくる”という間の重要性を日本サッカーに突きつけられた場面で、同時に多くを学べるシーンであった。

 そして、基礎の差を大きく露呈した一戦だった。
 無論、技術的には大きな差は否めないが戦術的には大きな差を感じなかった。中2日の過密スケジュールを考慮し、ジャイアントキリングを起こすなら攻撃の起点になっていた選手にマンマークをつけるやり方もあったのではないか。

 プロ選手が試合をする上で負けてもいい試合など存在していい筈がない。だが、弱者が強者を打ち破る戦う場合、この日の柏のように真正面からぶつかるやり方では勝利というものは自ずと逃げる。小が大を喰うセオリーと基礎をベースに戦う事も出来た筈だ。
 選手も監督も『いつも通りやれた』と話すがこの経験を来年のACLで生かして欲しい。

 この日のサントスは慣らし運転のようにもみてとれた。6速で走れるマシンが終始3速か4速で走っていた。

 12月18日、6速で走るサントスをお目にかかれる事を願いたい。


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