三つ巴

2011 年 12 月 1 日

 記憶とはつくづく曖昧なもので、自分の都合の良いように書き換えられ、ときに真実すら歪めてしまう。

 だが、3月の落ち着かない日常の中でみたベガルタ仙台サポーターの記したブログを生涯忘れる事はないだろう。3・11が人の命をいとも簡単に奪い去り、その後をねじ曲げていく様が記されていた。

  今週末の12月3日、19年目のJリーグが幕を下ろす。
 優勝は3チームに絞られ、最終節を前に柏69点、名古屋68点、G大阪67点、Jリーグ史上まれにみる混戦を誰が予想できただろうか。

 柏は開幕戦の勢い、4月に再開されたJリーグでも勢いを持続させ、負けても修復する能力は群を抜いていた。いわゆる新興勢力である。新興勢力の証拠はそのまま「代表選出」という結果にも表れる。ロンドン世代がより顕著だ。屋台骨を担う者、海外移籍を果たし招集された試合で結果という形を残し、信頼を掴んでいる。若手、ベテラン、外国人選手、流れを変える監督采配の融合は今年J1一年目を感じさせない。この結果は多くのJ2チームに希望とすらなり得る事実だろう。

 昨季王者である名古屋もスタートダッシュこそつまずくが乱打戦をものにする戦い、同点から勝ち越し点を決めきる勝負強さ、大量得点で勝利する試合、なにより連敗を許さなかった戦いぶりは連覇を目論むチームに相応しい。

 10年続いた西野朗監督による長期政権を築いていたG大阪も有終の美を飾るべく最終節に望む。「日本のファーガソン」にも成り得た監督だっただけに、経歴に見合った最後の花道を歩んで貰いたい。

 三つ巴となった今季の優勝模様だが、個人的に仙台の躍進は目を惹いた。5月にユアスタで観戦した時に感じた戦いぶりは生涯忘れないだろう。想いを背負い、無尽蔵に走り回る姿は自分のちっぽけな試合観戦数でも類をみないものだった。その後の連勝を重ねる事は容易に想像できた。夏に観戦した時は疲労感を滲ませ、中堅チームの宿命でもある選手層の残酷さを感じさせた。

 今季のJリーグは忌まわしい3・11があり、中断を余儀なくされた。4月23日、24日に再開され観客動員数は落ち込むものの、経験として歴史に刻まれた。
 この歴史を未来に活かすべく、更なる発展を期待したい。

 いずれにしても3チームにとって有終の美で終わらせて欲しい。その勝利が12月8日に開幕を迎えるクラブワールドカップ開催国枠出場の資格である。出場する事は世界的な認知度、経験値を上げる事は勿論だが、見本市にもなり得るこの機会をチームも、個人も、逃すまいと意気込むのは言うまでもない。

 亡き者や様々な想いの詰まったJリーグ19年目を忘れられないものにして貰いたい。その為には最後の輝きが必要不可欠である。記憶が都合よく書き換えられる事のない、心に深く刻まれる最終節を期待したい。



 3月の落ち着かない日常で心を揺さぶられたブログはネット社会の温かさと醜さがある為、URLは貼り付けません。興味があれば探して下さい。
 名もなきファンの存在が日本サッカー界の未来を創っていく事を改めて教えられました。
 この場を借りてご冥福をお祈り致します。


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