流行

2011 年 11 月 1 日

 去る10月29日、晴天のもと超満員の国立競技場で行われたナビスコ杯は鹿島アントラーズの大会史上最多優勝の4回という形で終了した。
 近年、文化の日に開催される大会が前倒しで行われた事にお気づきになった方も多いと思う。

 3・11により日本中が大打撃を受けた。

 無論、サッカー界も大打撃を受け、天災による初のリーグ戦中断、多くのファンが楽しみにしていた南米選手権辞退など、全てが今年起こったものと考えると、時の流れが如何に早いものか、とつい想いにふけってしまう。
 ナビスコ杯も例外ではなく、日程変更を余儀なくされた。3・11の影響で悪いニュースが飛び交う中、なでしこジャパンW杯制覇、男子日本代表の無敗記録更新といったニュースに誰もが勇気を貰えたのではないか。

 今年のナビスコ杯はリーグ戦で降格圏を争う浦和レッズと今季は「常勝」とは程遠い出来の鹿島アントラーズの対戦となった。会場入りした時に驚かされたのは試合開始1時間以上前を忘れるくらいのサポーターの多さ、試合に対する高揚感が感じられ、圧倒される。
 前半は一進一退の攻防が続く。押し気味に試合を運ぶ鹿島だったが、時折みせる浦和の鋭いカウンターといった試合展開に名勝負が容易に想像できた。
 ところが水をさす展開が後半早々に起こる。浦和MF山田直輝が退場処分になり鹿島に流れが傾く、10人になり必死に守る浦和にリーグ戦にみる浦和の守備の崩壊もなく、GK加藤順大のビックセーブでチームを窮地から何度も救う。
 後半35分に鹿島の急造CB青木剛も退場処分になり10対10の戦いで延長戦を迎えた。後半序盤から耐えに耐え続けた浦和に延長戦を攻める体力は残されていなかった。途中出場の田代有三の落としから興梠慎三がゴール前に送ったボールを大迫勇也が詰め、試合は決した。

 後半早々に退場処分になった山田からは『反省しないといけないのは僕だけ』と悔しさを滲ませる一方で『ここからまた浦和の為に戦い続けないといけない理由が出来た』とも語る。11月3日に行われるリーグ戦には出場出来ないが、プロである以上、迷惑をかけた代償はプレーで返すしかない。確かな才能を持つ選手だけに降格圏にいるチームを救う活躍を願うばかりだ。

 タイトルを獲り、リーグ戦は絶望的だがACLのタイトルが懸かる天皇杯を目指す。若手、中堅、ベテランが融合しエンジンがかかり始めた感が強い「常勝」鹿島だが、今回みせた結束を天皇杯まで維持できるかが鍵になるのは言うまでもないだろう。

 震災によるスタジアム崩壊などの被害を受けた鹿島が優勝賞金を手にし、少しでも足しになる事を心から願うばかりだ。

 以前、ECOという横文字が盛んに使われた時期にテレビのキャッチコピーか何かで「ECOはブームではない」といったコピーをよく覚えている。
 コピーのお陰とは言い難いが、各々の心がけでECOは当たり前になり、電化製品ではいまや常識になっており、ECOでなければ売れない世の中になった。
 3・11から半年以上経った現在、過去の出来事と葬り去ろうとする者達がいる。最低限の復興を遂げつつある被災地だが、未だ多くの助けを求められているのは言うまでもない。

 ならば現在 『震災はブームではない』 と叫びたい。


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