拳拳服膺

2011 年 9 月 22 日

 脆いようで強く、結局最後は勝利を物にしてしまう。そんな印象を抱いていたチームだけにいい意味で裏切ってくれた。

 9月21日、ロンドン五輪を目指すU-22日本代表の初陣はシュート数26本という数字を残し2-0というスコアで試合を終始圧倒した。スロースターターという印象を持っていたが、この日は試合開始からフルスロットルで試合に入った印象を受けた。
 かつてのアジア最終予選の緊張感など微塵も感じさせない一方的な試合展開であった。相手の力量を考えても「格上」らしい試合をした。
 試合序盤から前線からのチェックで次々とチャンスを作ると前半10分に幸先良く先制点を挙げる。大量得点の兆しを感じさせたが0-1で前半戦を終えてしまう。シュートを急ぎすぎた感は否めないが、工夫が感じられなかった。いくら相手よりも技術に優れているとはいえ、同じテンポでボールを入れては読まれるのは当たり前の結果である。サイド攻撃はマレーシアには気の毒な位に崩せた。ドリブルでも、パスでも、といった選択肢を両方とも生かせるポジション取りをしていては日本のサイド攻撃を防ぐには到らなかった。比べ、中央からの攻撃は全くと言っていい程に機能しなかった。理由として大迫勇也が敵を背負った状態でボールを受けた際のマレーシアDFのプレッシングの速さが尋常ではなかった。「肉を切らせて骨を断つ」と言い換えてもおかしくない守備に大きく手こずった。
 あれだけサイド攻撃が機能していたのだから、サイドからの攻撃を増やし、中央を固める守備陣を引き出す動きがあっても良い、引っ張り出して出す、引っ張りだして出す、といった動きの連続をもっと増やしていたら違う展開になっていた。簡単な事ではないが難しい技術ではない、むしろ相手に合わせたかのようなパス回しでは相手も守り易かったのは言うまでもないだろう。
 後半に入っても似たような展開が続き、日本の攻撃にテンポが合いだしたマレーシアに危険な場面を作られてしまうも永井謙佑、山崎亮平の投入を機に前線が活性化し、流れを引き戻すと後半31分に山崎の追加点で追いすがるマレーシアの息の根を止めた。
 永井、山崎が投入され前線が活性化した理由の一つとして動き出しが挙げられる。止まってボールを受ける場面が少なくなかった攻撃にスペースに入り込む動きが加わった事により、ガス欠状態になりつつあったマレーシアにトドメを刺した。
 この展開を関塚隆監督がオーガナイズしていたとは考えにくいが前半戦のパス回しがボディブローのように効いていたのは間違いないだろう。しかし、この展開も研究されるのは間違いないだろう。現在、必要不可欠なのは選手、場所、時間帯を見定めた攻撃、つまりはボールが入った時に遅攻か速攻かの意思統一をもっと浸透させれば、現在よりも上のレベルで戦えるだろう。
 その為には判断の速度をもっと上げたい。判断のスピードが上がれば、来たる五輪も十二分に期待出来る結果を残せる筈である。

 このチームは「永井のチーム」から「清武のチーム」に変わりつつある。その清武はこの試合で何回の決定機を外したか。事実、清武が起点となり2得点を叩き出したのは言うまでもない。真の意味で「清武のチーム」に変わるのならば清武の得点にこそ期待をしたい。
 そろそろ日本サッカーに垢や苔のようにビッシリ蔓延るアシスト至上主義に終止符を打って貰いたい。

 U-22マレーシア代表は強化策として、五輪出場を目指すエリート選手を選抜した「ハリマオ」というチームを作り年間を通してマレーシアリーグに参加させて強化を図っている。そのマレーシアを無失点に抑え、完勝と言っていい内容で勝利した。
 かつての日本サッカーがそうであったようにアジアも様々な強化策で世界を夢見ている。がむしゃらに来る相手に綺麗に、華麗に決めようとする姿勢は悪くはないが、決まらなければ何の意味も持たない。どんな形でも1点は1点である。もっと貪欲にゴールを目指す姿勢がなければ盟主の座も安泰ではない筈である。

 この日、忘れてはならないのは試合が行われた鳥栖スタジアム(とすスタジアム)は、佐賀県鳥栖市にある球技専用スタジアム。施設は鳥栖市が所有し、日本代表戦の試合は勿論、初である。地域活性化を考えた場合にも意義がある1戦であった。協会の英断をもっと評価しても良い。

 今後、代表に招集され試合に出場する者、しない者が当然いて、これからもサバイバルが続いていく。対戦相手を見た場合、マレーシア戦の様な試合展開が続いていくだろう。ゴール前を固められ、カウンターを狙って来るのは容易に想像出来る。その中で如何にして熟成を図り勝利を納めるかが大きな課題に思う。
 関塚隆監督が選ぶロンドン五輪日本代表メンバーが決定するその日まで選手達は気が抜けないのは言うまでもないだろう。
 香川真司、宇佐美貴史、宮市亮に代表される海外組もオーバーエイジ枠でなく出場出来る。今後、小さなミスをなくし、違いを見せつける事は勿論、得点に絡む、といった分かり易い結果を残さなければ落選は免れない。

 最終予選は選手の最終選考も含んでいる事を忘れてはならない。


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