杞憂

2011 年 8 月 30 日

 国民栄誉賞を授与され、なでしこジャパンの試合には雨の中でも観客数が2万人を超える。
 俗に云う「時の人」が来月9月1日より、正念場を迎える。

 練習試合ではなでしこジャパンを率いる佐々木則夫監督が25日、女子大生相手の試合内容に終始不満顔を見せ、この日の午後練習を急きょ中止として、チームのムードを入れ替える措置を取った。
 約3800人が見守った今合宿初の練習試合で佐々木監督の甲高い怒号がピッチに轟いた。スコアでは圧倒しながら、格下の大学生に合わせた戦いが不満だった。『我々の敵は吉備国際大ではなく他国なんだ。失点には繋がらなかったが、相手に合わせながらやっていた。攻撃では自分が関わらなくても点になるだろうという雰囲気があった』と指揮官は厳しい表情。『アジアの目線ではなくワールド目線で見ていかないと』と付け加えた。
 MF大野も『監督が怒っていたように良くない。高い位置でボールを取りにいく、それが足りなかった』と分析し、MF宮間も『もう少し厳しい試合になると、難しくなる』と最終予選に向け、課題を見つめた。
 W杯後のお祭りムードを完全に捨て去り、アジア突破へ、来年のロンドン五輪に向けられた目線に頼もしさを覚える。

 岡田武史前日本代表監督が『目標はW杯ベスト4』を掲げ、多くの者が失笑したのは2年にも満たない過去の話である。
 しかし、女子の場合は話が違ってくる。
 男子と違い、アジア枠を勝ち取ることが困難とされている。高校サッカーで例えるのなら、インターハイを制しても選手権の切符獲得が困難にある神奈川、千葉、静岡、東京の代表を争う困難さに似通っている。
 その中でアジア枠を勝ち取る死闘をこなして来たなでしこだからこそのW杯制覇なのだと多くの識者が語る。
 対戦国の中で『私たちはW杯前に対戦して引き分けたのだから我々も優勝国』と可笑しな考え方の国もあれば、最終予選のホスト国の中国もいる。羨望の眼差しを受けながら、嫌われ者でありながら、相手国全てが打倒日本で挑んで来る。
 ゴール前を固められ、敵意ムキ出しで来るのは容易に想像でき、無論、楽な相手など存在しない。
 日本国内でも楽観視する者もいれば、心無い言葉を投げかける方々も確かに存在する。
 過密日程の中で、しかもアウェーの地で11日間で5試合を行い、そのアウェーの地である中国入国の際、歓迎は受けたものの、試合が始まれば歓迎の仕方が違ってくるだろう。

 自分達のサッカーを自分達らしくすれば必ず結果はついて来る、私はそう考えている。
 「油断」を多くの方々が口にする。しかし、油断した先に待っている「闇」を彼女たちは知っている。

 全てが、全てが杞憂に終わる事を私は望まない。簡単に手にしたものはすぐに忘れるが苦労して手にしたものは誰でも大切にする。
 誰でもそうではないだろうか。

 9月1日から始まる11日間、世界王者たる戦い、そして振るまい、風格ある姿勢をアジアに披露して頂きたい。


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