過信

2011 年 8 月 11 日

 『独島の 領有権をめぐって、日本は減らず口を叩いており、勝利への意志はより一層強くなった』

 8月10日前、この記事を目にした時は日韓戦さながらの緊迫感がより一層の緊張を帯び、荒れた試合になる事が容易に想像出来た。
 個人的にはスポーツの世界に政治の話を持ち込むのは決して褒められた行為ではない。だが、逆に何年経っても解決策を見い出せない弱腰の日本政府にも憤りを覚えた。過去を遡れば分かる事なのだから早期決着を目指して頂きたいものである。

 試合が始まりシュートの意識が高い日本の攻勢が目立つ、岡崎慎司、本田圭佑と次々シュートを浴びせる。
 韓国は時に後からのタックル、厳しいボディコンタクト、ピンチの際には両チーム体の投げ出し合いに過去と同様の日韓戦独特の誇りと威信を懸けた肉弾戦の兆しを感じさせ始める。
 お互いのミスがピンチに直結してしまう、コンパクトな中盤戦に固唾を飲む試合展開。
 後半30分、遠藤の頑張りから狙いすませた高度なラストパスに李忠成から香川真司と繋ぎ、見事なタッチから先制点を奪う事に成功。
 その後、バラエティに富んだ攻撃に追加点の兆しを感じさせる。プレッシャーをかけられても動じない日本の技術の高さに韓国は為す術もない様に見えた。
 両者、激しい試合展開から怪我人が続出するが親善試合という事もあり、選手を早々に交代し始める。今回飛び級でA代表に入った清武だが、もっと見たいと思った瞬間に前半終了。
 トライした際のミスは致し方ないにして、攻撃を構築していく上での小さなミスを少しでも減らしたら、分厚い波状攻撃が見れると考えさせられる前半戦であった。
 後半戦はトラップが少し大きくなればタックルされるか、ボールをカッさらわれるコンパクトな試合展開に見ている者も圧倒される。
 後半8分、駒野の気迫溢れる突破からシュート、こぼれ球を清武が丁寧に繋いで本田が追加点。2-0。
 後半10分、香川のパスを清武が折り返し、再び香川が決め3-0。
 その後、香川、本田の自信を持った球捌きに、コンビプレーに韓国DF陣は右往左往させられる。韓国得意の肉弾戦に持ち込ませない頭を使った攻撃に会場がどよめく。
 駒野→槙野、長谷部→阿部、遠藤→家長、香川→細貝、といった交代でもチーム力を低下させる事なく試合で「0」で締めくくった。
 課題はリードしてからの試合の進め方であろう。3-0とリードしてからは開いた口が塞がらない様な雑なプレーが何度も見られた。軽いプレーには大きな代償を払うのが勝負事の常なのだが、今日は調子が上がらない韓国のミスに助けられた感が非常に強い。

 今日の試合を観戦し、日本代表が世界指折りの強国になるには、まだまだ道は遠く時間を有するものと感じた。何故なら世界に見る、強国とはどんな相手にも最後まで全力で戦い、そして精神まで叩き潰すかの様な試合を常にする。
 聞き苦しい表現かも知れないがドイツはフェロー諸島相手に3-0のリードをしているからといって終盤に手を抜くだろうか。

 断じて、抜かない。

 昔からドイツはどんな相手にも最後の最後まで全力で対戦国を叩き潰してきた。だからこそ時代が流れてもドイツはドイツなのだと私は考える。

 2011年8月10日、37年振りに韓国から3点差の勝利、13年振りにホームで韓国をこれ以上ない形で圧倒して試合を締めくくった。永年ライバル関係にあった韓国を3-0というスコアで勝利を挙げた、がリードしてから攻撃が雑になり得点差を広げる事を遂には出来なかった。
 この日を教訓に過信をせず、2014年ブラジルW杯アジア予選に挑んで頂きたい。

 例え、どんな相手に大量リードしたとしても最後まで手を抜かず、アジアの盟主たる戦いを切に期待したい。
 その先には必ず世界のトップで戦えるメンタリティが存在するものだと私は考える。今回の勝利は韓国にとって屈辱以外の何ものでもない筈。次回の対戦の際は目の色を変えて向かって来るのは容易に想像できる。その時に臆さず、今回みせた日本らしい試合が出来るか否か。
 ザック政権下になり、ここまで無敗と好不調の波の幅が少ない戦いをみせているが2014年ブラジルW杯で躍進を望むのならファンもメディアも厳しい目線で試合を観戦しなければ、危険そのものである。

 日本には「一寸先は闇」という警笛にも似た言葉がある。
 軽いプレーにはブーイングが出来る目線が今、求めれられている。


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