心遣い

2011 年 3 月 14 日

 我が国に未曾有の大震災が起こり、世界中のサッカー選手やチームから心暖まるメッセージが届く。セビージャFC vs FCバルセロナに至っては日本人選手が在籍していなくとも試合前「頑張れ、日本!僕らは君と共にいる。」といった横断幕を掲げてくれていた。
 美しい心遣いに思う。
 報道されたり注目されているのが“超”が付く程の技術を持った選手達であるし、チームも然りである。そんな中での長友佑都の前所属チームACチェゼーナが練習時に日の丸のシャツを着用し、試合前のアップを行っていた。
 テレビ中継でアップのシーンは見られなかったが、後になって知ることになる。
 チェゼーナというチームは長友佑都が移籍しなければ殆どの日本人が、よっぽどの事がなければ知る事はなかったのでは。
 セリエAのオールドファンでさえ、首を傾げるチームは開幕スタートダッシュさえ成功したものの、やがて失速。多くのセリエA復帰1年目のチームが経験する残留を懸けた戦いを現在は争っている。
 そんなチームからビッククラブへ移籍した元チームメイトを思い、日本を想い日の丸を纏いピッチに立っていた。
 その思いの中に長友佑都の人間性も勿論あったと思う。

 日本サッカー協会は代表戦は開催予定でJリーグの今月中の開催の中止が決定したようだ。
 当然といえば当然だが、果たして「中止」で良かったのだろうか。
 もっと他にやり方があったのでは? 電力不足が叫ばれるのならナイトゲーム開催は辞めデイゲーム開催にすれば良かったのでは? 地震の影響でホームスタジアム開催が不可能ならば、国立競技場の使用は出来ないものか。
 「こんな時期だから」と言って休むのは簡単だが、こんな時期だからこそ出来る事があるのでは。

 分かり切った事だが、スポーツの持つ力は計り知れない。
 時に怒り、時に泣き、時に笑う、人間の根本を支える「喜怒哀楽」が凝縮されたスポーツを緊急時だからこそ行って頂きたい。
 少し誤解を招く書き方になるが、現在もイタリア、スペインの代表戦は大都市では行われない。ナショナルチームの試合より我が町のクラブチームに多くの希望を抱いていてチケットが思うように売れない現実がそこにはある。
 日本とは逆の愛情があり、日本にも徐々に着実にあるべき姿に近づきつつある。
 そんな矢先の今回の大震災である。
 Jリーグが再開されれば、各チームからチケット代の何割かを被災地に贈れるだろうし、サッカーに対する本当の愛情も芽生えると私は考えている。
 日本に聖地国立競技場がある様にサッカーの母国イングランドではウェンブリー・スタジアムがある。世界最高レベルにあるプレミアリーグで凌ぎを削る選手同士がスリーライオンズを胸に母国の誇りを懸けて戦う姿を一目見ようと9万人収容出来るウェンブリー・スタジアムでのチケットは毎回“即完”の人気だ。
 日本のそれとはまるで違う。

 J1、J2問わず被災地に本拠地を置くチームの勝利が被災者に力を与えられないだろうか。ワールドカップやアジアカップの歓喜を思い出して欲しい。
 ただ大勢が集まって肩を寄せ合って『寂しくないね』と騒ぎたかっただけなのだろうか。
 Jリーグが開催されれば、心無い誹謗中傷が予想されるであろう。だが、代表戦が開催されてJリーグが中止される現実に呆れているファンは一人や二人ではない。
 代表戦に重きを置き、地方を軽んじている様では本当の発展など未来永劫来ない。

 協会の英断を期待したい。

 節電が騒がれても夜になればネオンが煌々と輝く現実。本当の「先進国」なら決してしないであろう。
 “超”がつく者達、企業は自身の全ての振る舞いや行動に気品や誇りを持っている。
 そして、心遣いが出来る。


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