悲願

2010 年 8 月 21 日

第92回全国高校野球選手権大会決勝戦を観て、松坂大輔がいた頃の横浜高校を思い出した。
興南高校は横浜高校ほど、劇的な勝ち上がり方をしてきたわけではない。
決勝戦という大舞台をノーヒットノーランで終えたわけではない。

今年の春の選抜大会を制し、甲子園に再び戻って来た興南高校。
評判通りの勝ち方をしてきたものの、準々決勝、準決勝ではリードを許してしまう。
しかし、動じない強さを彼等は併せ持っていた。
追うものと追われる者のかかる重圧は全く違う。
「春の王者」という意識が選手を苦しめる。
例え、選手が無心でいても相手があるのがスポーツ。
相手は違う。
「打倒!春の王者」でぶつかって来る。
「春の王者」という言葉は互いにとって重圧になる。
その重圧に打ち勝てる術は練習しかない様に思う。
明けても暮れても来(きた)る、その瞬間の為にどれだけキツイ練習に耐えぬいて来たか。
その忍耐こそ自信に繋がっていく、と私は考えている。

興南高校のエース島袋洋奨君は素晴らしかった。
大会を通じて、苦しい局面でのストレート勝負は目を惹いた。
『打てるものなら打ってみろ』
と言わんばかりのストレートは自信の表れの様に私は感じた。

松坂大輔、島袋洋奨、両者は甲子園春夏連覇という偉業を成し遂げた。
だが野球は1人で決して出来ない。
横浜高校は守備は固く、走力もチーム打率も総合的に素晴らしかった。
興南高校も甲乙つけ難い位に素晴らしかった。

では何故、彼等は偉業を達成できたのか。
私は逆転勝利こそチームを波に乗せ、チームを1つにする鍵になっていると思う。
興南高校は準々決勝の聖光学院戦で0-3から、準決勝の報徳学園戦で0-5からの逆転勝利。
横浜高校も準々決勝のPL学園戦は0-3から、準決勝の明徳義塾戦では0-6からの逆転勝利であった。
ピッチャーという特殊で孤独なポジションをこなすチームメイトの頑張りに応えたい。
思う事は選手一人一人違うと思うが1つに必ずあって欲しい。
チームメイトを思い、チームの勝利を願い、全力を尽くす。
逆転勝利はナインに自信を持たせ、たとえ先制されても動じない鋼の精神を持たせた。
私は、そう信じたい。
ただ、決勝戦でノーヒットノーランを成し遂げた松坂大輔はモノが違うのかも知れない。


52年前に初めて甲子園の土を踏んだ沖縄県代表首里高校。
敗れて持ち帰った甲子園の土が検疫に引っ掛かるという事で船の中で捨てたエピソードがある。
悲しい歴史を持ち、届きそうで届かなかった沖縄県の夏初制覇。
他校に比べ、交通の便だけでも不利である沖縄県。
甲子園の長い歴史の中で6校しか成し遂げていない春夏連覇。
彼等は世に云う「偉業」を成し遂げた。
心からの大きな拍手をお贈りしたい。

素晴らしい第92回全国高校野球選手権大会であった。


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